2008年6月20日

有楽町・副都心線2008年6月14日改正ダイヤ分析 朝ラッシュ時

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 6月14日に開業した東京メトロ副都心線と、ダイヤ改正した有楽町線の朝ラッシュ時ダイヤについて分析したいと思います。

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図:有楽町・副都心線2008年6月14日改正ダイヤ 朝ラッシュ時

◆ダイヤパターン概要

 基本ダイヤパターンは15分サイクルになっており、最ピーク帯パターンでは和光市方面からの有楽町線系統各駅停車3本、副都心線系統通勤急行1本、各駅停車2本、西武線方面からの有楽町線系統各駅停車3本、副都心線系統急行1本の計10本が設定され、小竹向原から有楽町線方面では6本、副都心線方面では急行1本、通勤急行1本、各駅停車2本と分かりやすいパターンになっています。

 ですが、ピーク1時間帯で見ると副都心線系統の各駅停車が西武線系統に割り当てられたり、サイクルを若干延ばして本数を間引きしていたり、小竹向原の接続関係が一部異なっており、そのあたりが分かりにくい印象を与えているのかなと思ったりします。

◆新旧ダイヤ比較 ※小竹向原基準7:37~8:37の1時間

<旧ダイヤ>

 和光市方面発新木場行 13本
 和光市方面発新線池袋行 4本 小計17本
 西武線方面発新木場行 10本
 西武線方面発新線池袋行 2本 小計12本 合計29本

 →新木場行23本 →新線池袋行6本

<新ダイヤ>

 和光市方面発新木場行 13本
 和光市方面発渋谷行  11本 小計24本
 西武線方面発新木場行 10本
 西武線方面発渋谷行   6本 小計16本 合計40本

 →新木場行23本 →渋谷行17本

 こうして表にすると、有楽町線の本数は変わっておらず、あくまで副都心線の増発分(新線池袋行に対して)を和光市方面:西武線方面=2:1の割合で設定したことが分かります。

 すなわち、本数という観点では有楽町線の利便性は維持されたと見て良いと思います。

◆混雑面から考える新ダイヤの懸念ポイント

 以前小竹向原で利用状況の調査をしたことがありますが、和光市方面からの列車の混雑率に対して西武線方面からの混雑率がかなり低く、列車による混雑率のアンバランスの大きさに驚きました。

 池袋から先の混雑区間が耐えられているのは(実際の状況を見ていないですが)、和光市方面からの列車の混雑がメトロ線内の乗車(地下鉄成増~平和台)によるもので池袋の下車が多く、池袋の乗降で和光市方面系統と西武線系統の利用率が均等化されるからであると考えていました。

 ダイヤ的にもピーク帯は和光市方面系統と西武線系統を交互に走らせることで、混雑分散を図っていたように思います。

 よって、副都心線は開業直後から大幅に利用が増えないでしょうから、この従前からある有楽町線の流動が新ダイヤでも維持されるかどうかが改正ダイヤのポイントだと思っています。

 そのあたり見てみましょう。

(1)新木場行の前列車間隔が旧ダイヤ程度確保されているか?

 旧ダイヤでは和光市発の運転間隔は3~5分間隔になっており、小竹向原で西武線系統に乗り継げるパターンではあるものの、新線池袋行の前後が6分程度の運転間隔になるように配慮していました。

 新ダイヤでは、副都心線内のダイヤの関係で和光市発の段階で通勤急行と各駅停車が続行になるため、新木場行は副都心線系統を2本挟む形にならざるを得ません。この運転間隔は6~8分となっており、極力広がらないようにしているようですが、ピーク帯に8分開いている部分はちょっと不安があるかなと思います。

 副都心線系統に乗っても小竹向原で乗り換えが可能で、そのあたりの分散が図られれば問題は無いのかもしれませんが、もともと混んでいる時間帯ということもあり遅延の弱点列車にならないことを祈るばかりです。

(2)小竹向原の接続関係はどうか?

 旧ダイヤでは、和光市方面系統の新線池袋行は必ず西武線系統に接続するパターンになっており、小竹向原で乗り継ぎ時間を考慮した停車時間が設定されていました。

 新ダイヤでも、副都心線通勤急行と各駅停車の続行に対して、西武線系統の各駅停車の続行が、副都心線各駅停車の単独運転に対して西武線系統の各駅停車(西武線内準急)に接続するパターンになっていますが、続行部分の接続の処理がタイトになっており、いずれかの系統に遅延があると、接続が維持できない可能性が高いです。

 旧ダイヤでは西武線系統の続行はありませんでしたが、新ダイヤでは続行があるため、接続の有無により、西武線続行の後続の和光市発系統にしわ寄せが行くといった懸念はありそうです。このあたりは実際どうなるか分かりませんので、あくまでダイヤ上の心配という感じで捉えてください。

◆施設面から見る新ダイヤの懸念ポイント

 次に施設面から見る懸念ポイントですが、開業後数日ダイヤが乱れたことでニュースでも複雑な運行形態が取り上げられ、その要因として小竹向原の構造、クロス運行が挙げられていました。

 確かにその要因はあると思うのですが、クロス運行の阻害を「西武線系統から副都心線に進む場合に和光市方面からの新木場行を阻害する」と見た場合、朝ラッシュ時ダイヤの最ピーク時間帯を見ると、西武線からの急行が出発する時だけなんですよね。

 そのあたり考慮して西武線系統からの副都心線系統各駅停車はピーク帯前後に外して設定していると思われる訳で、西武線系統用の2番線は列車本数に余裕があり、和光市方面系統の状況を見つつ合間を縫って出発させるのは旧ダイヤと同様ですから、クロス運行がそこまでダイヤを乱す要因とは思えなかったりします。

 とは言え、和光市方面系統は和光市の発車番線が1本で東武線方面からの直通の影響を受け、西武線も練馬の接続関係その他遅延する要因を含んでおり、どの程度「小竹向原着」がキープできるか分かりませんので、明言は避けます。

 いずれにしても利用者がダイヤパターンを理解し、接続関係のセオリーが確立され、定時運行がキープできるようになることを祈るばかりです。

◆副都心線のダイヤについて

 最後に副都心線内のダイヤについてですが、優等運転を行う意気込みは感じるものの、各駅停車の東新宿の待避時間の長さを見ると、本当に追い越しは必要なのか?という気にはなりますね。

 今後の利用率次第ですが、緩急比率の見直しも含めて再考する余地は多分にありそうな気がします。通勤急行は明治神宮前に停車するとか・・・ そのあたりはまたいずれ考えてみたいと思います!!