鉄道混雑研究ライブラリ データの活用について

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混雑ポイントのデータ取得時に必要な情報ついて

 混雑ポイントの考え方については別頁でご覧頂いたとおりで、ここではデータの取得・活用について解説していきたいと思います。

 データの取得については個々に独自のやり方があるでしょうから、あくまで基本方法としてご紹介させていただきます。まずは、データ取得例を挙げます。

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 上記のデータが最低限必要な情報です。項目としてまとめると以下のようになります。

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定点観測方法について

 混雑は編成全体が同じであることはまれで、階段位置や緩急接続時の車両編成長の違いなど、様々な要因により差が出ます。よって「乗っている状態では自身の車両位置の混雑率が編成全体の混雑率に対して高いのか低いのか分かりません」。「毎朝利用しているからよく分かっている」と混雑傾向を論じられる方が少なからずいますが、いつも同じ列車や同じ車両位置に乗っているとすれば、それは限られた条件での判断でしかなく、全体の混雑を把握するうえでは捉えたことにはならないと考えています。

 よって、当サイトでは、全体の混雑傾向を把握してダイヤを分析するという目的を果たすべく、混雑ポイントによる定点観測は「データ取得は編成全体を1両ずつ総て取得し、混雑傾向を判断できうる時間(1サイクル~1時間程度)」実施することを基準としており、ホーム端部にて到着もしくは発着状況を確認することとしています。この調査方法を「定点観測」と名付けています。

 限られた時間で調査を行っているので、到着と発車を同時に見たいか、乗降の多い拠点駅数駅で見たいか等、調べたい事柄に応じて臨機応変に調査をすることとしていますが、最近はダイヤ改正前後に同じ条件で調査して、ダイヤ改正効果を確認するのが個人的に好きというか拘って実施している調査になっています。

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編成全体の混雑ポイント計算方法について

 データライブラリー等に全体混雑として【3,400p】といった表記があります。これは編成全体の混雑ポイントですが、200pが最高なのに10両編成の合計が2,000pを越えるのは不思議に感じるかも知れません。

 これには訳がありまして、混雑ポイントはポイントの段階毎に人数の増分が定められており、0p~100pまでは20pあたり15人区切り、100pから200pまでは20pあたり45人区切りとしています。よって60pと80pの差と100pと120pの差は3倍開きが有り、全体の混雑ポイントを足し算する場合には、100p以上の分は3倍して数値を補正することから、200pならば補正して400pになるのです。

 ちょっとわかりづらい補正方法ですが、具体的には以下の計算方法を用いることになります。

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編成全体の推定人数の算出について

 20m4扉ロングシート車について、混雑ポイントは20pあたり15人で計算ができます。0~80pの座席埋まり状態であれば20pあたり13.5人のほうが精度が上がりますが、朝ラッシュ時など立ち客が多い場合は概ね15人計算で良いと思います。

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混雑ポイントのダイヤ分析・改善提案への応用について

 実際にデータを取得して、編成全体の混雑状態、推定乗車人数が導けると、どのような検討が出来るでしょうか?

 例えば、とある路線のダイヤ案を考えていて、元々は12分サイクルだけれども、輸送量を鑑みて編成長の短縮が可能ではないか?という課題に対して、目指すダイヤを「12分サイクルのまま」「10分サイクルに短縮する」という2案で仮定するとします。この2つの案について、それぞれ現行と比較して「どの程度混雑に影響がでるか」が検討のポイントになります。

 まず実施しなければならない事は、現行ダイヤでどの程度乗っているかを把握することです。「空いていそうだから・・・」ではまわりを納得させにくいですしね。データを取得したら、それに対して、以下のような計算を行い、その結果で判断することになります。

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 こんな感じで計算していただけば、ダイヤ案検討の際に役立つかと思います。

 当サイトにおいてダイヤ的な提言を行う場合は、現地調査したデータをもとに分析して、図等を用いて分かりやすくご紹介していきますので宜しくお願いします!!

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