◆鉄道混雑研究ライブラリ◆ 混雑ポイントの考え方


 ~4扉ロングシート車両を基準にした混雑ポイント算出方法基礎~


混雑ポイントとは?

 当サイトでは、日頃皆様が鉄道各路線を実際に利用した時に利用者の視点で混雑状況を確認し、その結果をデータという形で蓄積し集積することにより「各路線の利用状況を大まかに把握してダイヤ案に活用させる」ことを目的として「混雑ポイント」という目安・指標を定めています。

 この目的ですが、文字ベースの議論で「~は混んでいるから増発すべき」という意見に対して「いや、私が見たときは適正だった」と反論したとしましょう。このやりとりを見て、他の人間はどう捉えるでしょうが? 「混んでいる」がどの程度混んでいるか、逆に「適正」とはどの程度なのか判断しようがありません。

 実際の所、こうした意見の確認根拠(いつ、どこで、どの列車の、どの部分を見ての判断か)が示される事が無いのも、そこまで示しても肝心の混雑率状況を示す指標が無いため、具体的に示すまで至らないのだろうと、長年の掲示板運営の過程で捉えてきました。そこで、より意見交換を活発にするためには「意見交換するメンバーの混雑の捉え方に有る程度の客観的指標が必要」であると判断し、指標を策定するに至ったわけです。


<混雑ポイントを覚えること・使うことによるメリット>

1.編成の混雑バランスが分かる
2.ダイヤサイクルにおける各列車の混雑バランスが分かる
3.路線・区間ごとのバランスが分かり、路線全体の絶対評価が出来る
4.他の人の不正確な意見を鵜呑みにしなくなる(自分の中での論じる上での必要データが確立される)


 当然の事ながら人の目での判断計測ですから、誤差は含まれますが、基礎となる考え方は「実際の乗車人員」を根拠として定めているため、理屈の上では「混雑ポイントを逆算して乗車人員を導く」ことが出来ます。そのデータの信頼性について追求しても建設的ではないので、当サイトでは覚えるより慣れて適宜考え方を見直していきたいと思います。

 そういう状況でありますので、一定の「誤差が含まれるもの」であることが避けられませんが、「気軽にデータを収集できること」が重要であると考えておりまして、当面は使いながら修正していきたいと思います。こうした状況であることをデータを閲覧される皆様にはご理解いただきたく思います。


 単位が「ポイント(p)」で数値を用いていますが、それは便宜上であり「数字そのものは車内人数と比例関係は無い」ので、合わせてご注意下さい。



一般に使われる混雑率とは?

 「混雑率」とは一般的に「車両の定員数を100%」とし、それに対する乗車比率を示しています。各社考え方は若干違いますが、一般には「座席数+吊革数+ドア付近に数人」といった感じになるでしょうか。20m級と言われている車両の場合座席数が60席弱、吊革が70程度、ドア付近に3人ずつとするとドアが8枚有るので24人、合計して定員は140~150人でしょう。

 各社車内設備の差により数字はまちまちですが、首都圏各路線の朝ラッシュ時の混雑は200%以上にもなりますから、1車両に300人近くが乗車することになるようです(かなりおおざっぱな考え方ですが)。

 しかし、普段利用している中で「座席に何人座っているか」「吊革に何人掴まっているか」「ドア付近に何人いるか」ということを判断するのはたいへん難しいことです。おそらく「100%と120%の違いなんて瞬時には判断が出来ない」でしょう。これでは混雑データを取る事は現実的ではありません・・・・


混雑ポイントの基本は「乗車過程を段階に区切る」こと

 それでは、混雑ポイントをどのように定めるかという事になりますが、これについては「駅の写真館」コンテンツ制作過程で得た車内調査の実績と日々乗車している際に計測した人数実測値を元に、車内の混んでいくプロセスの一定の法則(統計による)を導きだしました。その過程を車内人数で区切って、その段階を分かりやすく「見た目のイメージ」化することにより、見た目によって得たデータが少なくとも同レベルの混雑ポイントの範囲内に収まるようにしようと考えたのです。

 路線によって最終的な混雑が違うため、利用者がそれを踏まえた車内位置をキープすることが経験から分かっていますが、それを考慮することは正直限界があると思い、それは誤差の範囲ということで目をつぶることにしました。

 で、段階の区切り方ですが「座席が埋まるまで」の段階、そこから「車内が満員になるまで」の段階をどの程度細かく区切ることが出来るか検討しましたが、参考文献を読むと、3等分とか5等分とか2で割り切れない判断は瞬時には難しいことが分かり、それならば2で割り切れる判断が可能なようにしようということで、座席が埋まる段階を4つにしました。半分の半分(1/4)区切りならば判断も難しくないと思いまして。

 次に立ち客が埋まる段階をどのように区切るかですが、これも4段階が望ましいと思いましたが、座席が埋まっている段階から満員までを4段階に区切るのは見た目上区切るのが難しいことが予想されます。そこで車内の位置上ドア周辺部を仮想の座席と過程して、ここが埋まる過程を一つ設定すれば、あとは車内内部の混雑段階を面積割りする形(要検討ですが)で4つの区切りを設けることが出来そうです。

 ドア部に立てる人数は概ね3人ですが、車内の吊革を掴むことなくドア部だけに立つような状況は、せいぜい15~20人程度が限界ということが過去の測定から見えていたので、座席数(4扉ロング車の座席数54席を基準とします)とあいまってドア部までは同じ人数(概ね15人単位)で区切ることとしました。この混雑段階を「日中時の理想として100pを与える」こととし、座席埋まり段階を0~100、立ち客埋まり段階を100~200として段階区切りを設定することにしました。

 「各段階のポイントに対応する人数の考え方」は以下に示します。



各段階の混雑ポイントに対応する人数の考え方

 実際車内には何人乗れるのかを考えることにより、各段階の想定人数を決めることにします。この検討にあたっては、山手線等に設定されている20m6扉車(朝ラッシュ時の椅子無し状態)から西武線等にある20m3扉車まで、幾つかのドア数・座席数パターン別の立ち客数を計測して判断しました。

 椅子無し車両で概ね360人前後が乗れることが分かったので、これを基準とし、椅子を一席設けることで何人立ち席が奪われるのかを上記データから算出、その結果300人程度と判断しました。よってこの300人を基にし、座席数、吊革数、車内各エリアの可能立席数から、各段階の人数割を決定しました。


<20m4扉車の混雑ポイント各段階の設定人数(期待人数範囲)>
混雑ポイント
設定人数(期待人数範囲)
100p
75人(65~95人)
0~10p
0~7人(0~7人)
120p
120人(96~140人)
20p
14人(8~20人)
140p
165人(141~185人)
40p
27人(21~33人)
160p
210人(186~230人)
60p
40人(34~47人)
180p
255人(231~275人)
80p
54人(48~64人)
200p
300人(276人以上)

 なお、上記の計算方法により20m5扉、20m4扉ワイド、18m4扉、3扉車など、他の種類の車両についても数値的な見解はまとまりつつ有りますが、これが20m4扉車の混雑ポイントに対する係数補正で適用できるかどうか、ただいま検討中です。もう少しお時間を頂きたく思います。



各段階の混雑ポイントの見た目について

 上記で決定した設定人数に見合う車内の見た目の状況について、再度車内で人数を計測し考え方を以下のようにまとめました。


<20m4扉車の混雑ポイント各段階の見た目解説一覧>

【0ポイント】座席完全空席段階(4扉ロング車)

【見た目の判断基準】
完全に人が乗っていない車両。
・人数が乗っていても10pとは判断出来ないケース→2~3人程度までの利用。


<<期待範囲0~3人>>

【まとめ】人が完全に乗っていない車両は0p

【10ポイント】座席若干埋まり段階(4扉ロング車)

【見た目の判断基準】
若干(5人程度)人が乗っている車両。
・4~6人程度の利用。


<<期待範囲4~6人>>


※20pに至らないが0pではないケース
の判断が難しいという意見が多かった
ため、中間にあたる10pを新設しました!!

【まとめ】5人程度乗っている車両は10p

【20ポイント】座席1/4埋まり段階(4扉ロング車)

【見た目の判断基準】
・座席の1/4程度(約13席)が埋まっている
・座席の1ブロックに2名程度座る状況(目安)
・空席があるにも関わらず立ち客が居る場合は、立ち客を座っているとしてカウントする。


<<期待範囲7~20人>>

【まとめ】座席の1/4が埋まっている車両は20p

【40ポイント】座席2/4埋まり段階(4扉ロング車)

【見た目の判断基準】
・座席の2/4程度(約27席)が埋まっている。
・座席の1ブロックに3~4名程度座る状況(目安)。
・空席があるにも関わらず立ち客が居る場合は、立ち客を座っているとしてカウントする。


<<期待範囲21~33人>>

【まとめ】座席の2/4が埋まっている車両は40p

【60ポイント】座席3/4埋まり段階(4扉ロング車)

【見た目の判断基準】
・座席の3/4程度(約40席)が埋まっている。
・座席の1ブロックに4~5名程度座る状況(目安)。
・空席があるにも関わらず立ち客が居る場合は、立ち客を座っているとしてカウントする


<<期待範囲34~47人>>

【まとめ】座席の3/4が埋まっている車両は60p

【80ポイント】座席満席段階(4扉ロング車)

【見た目の判断基準】
・座席が完全(約54席)に埋まっている。
・立ち客が居る場合は、10人程度までであれば80pとする。ドア部に1人程度なら80p。


<<期待範囲48~64人>>

【まとめ】座席が総て埋まっている車両は80p

【100ポイント】ドア部立ち客段階(4扉ロング車)

【見た目の判断基準】
・立ち客がドア部周囲1ブロック(車体左右のドアに挟まれた範囲)に3~5人程度。外から見る場合もドア窓から見える人数で判断できる。
・ドアに2名程度居る場合、座席端部の吊革に掴まったり、スタンションポール部に立つ場合が多い。それを含めて立ち客が1ブロック3~5人ならば概ね100p範囲になると考えられる。
←の写真は2つ目のドア部周囲ブロックだけ多かったが全体で見て判断。ブロック人数×4の判断が問われる。


<<期待範囲65~95人 (立客11~41人)>>

【まとめ】ドア部周辺にのみ立ち客が居る状態(吊革客無し)の車両は100p

【120ポイント】吊革半埋まり段階(4扉ロング車)

【見た目の判断基準】
・既に居る立ち客がドア部周囲のブロックをキープしているため、新たな立ち客はドアに近い吊革位置をキープしていく。座席に隣接する吊革部の約半分が埋まるあたりから吊革部を狙うよりドア部付近に留まる指向が高まっていく傾向が有るので、その境目を目安として、座席に隣接する吊革の埋まり具合から判断することとする(ホームからの観察ではこのあたりが限界)。
 座席に隣接する吊革部の約半分が人で埋まる状態であれば120pの範囲と判断できる。
・吊革部の人数が若干少ない場合の判断として、座席に隣接する吊革部左右の人数(ドア間1ブロック)+ドア部周囲1ブロックの人数合計が15人前後であれば120pと見なせる(但しホームからでは瞬時の判断が難しい)。


<<期待範囲96~140人 (立客42~86人)>>

【まとめ】座席に隣接する吊革が約半分埋まっている車両は120p

【140ポイント】吊革全埋まり段階(4扉ロング車)

【見た目の判断基準】
・ドア部周囲の人数が15人程度になると、ドア部周囲よりも車内奥の座席に隣接する吊革部(半数は埋まっている)が先に埋まっていく傾向が多く見られる。この時の人数が期待範囲に収まることから、この段階、座席に隣接する吊革部の大半が人で埋まる状態であれば140pの範囲と判断できる。


<<期待範囲141~185人 (立客87~131人)>>

【まとめ】座席に隣接する吊革がほぼ埋まっている車両は140p

【160ポイント】ドア付近混雑段階(4扉ロング車)

【見た目の判断基準】
・座席に隣接する吊革部が埋まると、吊革が持てない中央部とドア部が埋まっていくことになるが、段階としてはドア部周囲が先に密度が増していき、押し出されるような形で車内中央部が埋まっていく。
 「ドア部周囲から座席隣接の吊革の1列目程度までのスペースに圧迫の無い形で留まれるのは概ね25人程度(密集率が高い)」であり、それ以上となると車内中央部に向かって人が押し出されるような形で混み合っていく。この押し出される直前の段階の人数が過去のカウントから期待範囲に収まることから。吊革以外の中央部には人が居ないがドア部の密集率が高まっている状態を160pと判断する。
・ドア部の混雑を避けて中央部に入る人も居るが、その人数とドア周囲1ブロックの合計(座席隣接吊革の人を除く)が25人程度が160pの目安となる。


<<期待範囲186~230人 (立客132~176人)>>

【まとめ】ドア部周辺が混雑している(車内中央部は埋まっていない)車両は160p

【180ポイント】車内中央部埋まる(4扉ロング車)

【見た目の判断基準】
・ドア部周囲の密度が限界に達すると当然ながら車内中央部に人が押し出される。吊革を掴めない人間にとっては少しでも状況を良くするためか、車内が混んだ部分と空いた部分の差は無くなっていき、周囲との圧迫が発生しない段階において車内全体が均等に人が配置されるようになる。
 圧迫が無いかたちで車内全体に均等に人が配置された状態をカウントすると、ドア部周囲1ブロックは25~30人程度、座席に隣接している吊革を持っている人を含めて車内内部は17~20人程度となり、合計立ち客が190~200人程度で期待範囲に入ることからこの車内中央部まで埋まった状態(周囲との圧迫ほぼ無し)を180pとする。

・外からの判断としては、座席窓から見て車内中央から埋まっているかどうかで160pと区別する。ドア部が密集していると満員200pと区別し辛い面があるが、ドア閉めに手こずらないケースでカウントすると、たいていこの範囲に収まることから、ドア閉めに手こずる、閉まっているドアに人が圧迫しているような場合以外は180pとしたほうが良さそうである。


<<期待範囲231~275人 (立客177~221人)>>

【まとめ】車内中央部まで埋まった(ドア部の圧迫無し)車両は180p

【200ポイント】身動き不可段階(4扉ロング車)

【見た目の判断基準】
・180p以上の混雑となると、車内密度が高まるしかない。車内中央部よりもドア部だけ密度が高まる状況が第一段階。それでも入りきらない場合は暗黙の了解で車内中央部への圧迫締め固めにより更に密度を高めていく(埼京線朝ラッシュ時最後部車でデータ収集)。いずれにしても圧迫が発生している状況でカウントすると、立ち客(着席客除く)が220人程度となっていたので、この段階を200pとする。
・ホームからの確認では、ドア部の圧迫状況が概ね目安になると考える。


<<期待範囲276人以上 (立客222人以上)>>
【まとめ】ドア部の圧迫が見られた車両は200p

 以上が現段階での混雑ポイントの考え方です。私も日々データ取りをして考え方の見直しをしていきたいと思いますので、皆さんも上記を参考にして現地調査を実施していただき、考え方についてご意見等伺えれば幸いです。宜しくお願いいたします。