【調査条件】
・平成18年1月10日(火)
・中目黒駅横浜方にて60分(発車時)、渋谷方にて15分(到着時)下り列車の混雑を定点観測
・運行状況は正常
【調査目的】
・所用で中目黒に居たため、夕ラッシュ時の利用状況を観察することにした。
・見るポイントは全体混雑と女性専用車の利用率の関係、日比谷線からの乗り換えによる混雑の影響、編成位置による混雑傾向。
【調査結果の要点】
・最も混雑している通勤特急を見ると、最混雑車両が340pの場合女性専用車は250p、310pの場合220pとなっており、混雑車両位置が近いこともあり、混雑状況が利用率に関係している事が分かる。
・日比谷線の接続有無・本数が混雑に影響を与えているが、同じ接続本数でも混雑に差がある。日比谷線の運転間隔にバラつきがあるため、分担率の高い日比谷線を受ける東横線が混むロジック。
・横浜寄りから3~6両目の混雑率が高く、学芸大学、自由が丘の階段位置が関係している事が推測される。
【考察】
<混雑率全般について>
東横線の渋谷に近い区間では学芸大学や自由が丘等近い区間の利用比率が高く、種別に関係なく渋谷における前列車間隔による分担率の大小が混雑に与える影響が大きい事が一つの特徴です。よって通勤特急は最優等だから利用率が高い訳ではなく、渋谷における折り返しタイミング、前列車間隔が急行より開いているなどの要因を含めて混んでいると言えます。
前述の通り渋谷の条件だけであればサイクル中の混雑バランスは似た感じになる事が想定出来ますが、中目黒での日比谷線の接続有無や本数による影響が少なからずあることがデータから読みとれます。
サイクルにより優等が混んだり各停が混んだりバラバラになっており、非常に興味深い結果になっていると言えましょう。日比谷線の接続有無・本数が混雑に影響を与えているが、同じ接続本数でも混雑に差があります。これは日比谷線の運転間隔が2~5分とバラつきがあり、直通を挟むと前後の列車が多少影響を受けるためだと考えられます。
今日は横浜方メインで見たため詳細は不明ですが、日比谷線の運転間隔と混雑している東横線列車の関係から、日比谷線内で分担率の高い列車(つまり混んだ日比谷線)の接続を受ける東横線が混む図式になっていると言えます。
<女性専用車の状況について>
女性専用車の利用率を混雑率データから最も混んでいる通勤特急だけ見ると、最混雑車両が340pの場合女性専用車は250p、310pの場合220pとなっており、列車全体の混雑率のみならず最混雑車両の混雑具合が女性専用車の利用率に関係している事が推察されます。
日比谷線からの乗り換え状況を見ていると、3両分くらいの範囲(日比谷線の6~8号車)から女性専用車へと移動する傾向が見られます。これより渋谷方だと渋谷方の空いた車両に流れて行く感じです。
簡潔に述べると先頭側の女性は専用車があるため、最混雑の5~6号車を極力避けているという感じだという事です。3、5~6号車の利用率が高いのは自由が丘の階段位置、急行の4号車の利用率が高いのは学芸大学の階段位置が関係していると思われ、便利な車両が混む形になっていますが、グラフを見る限り5~8号車の混雑率推移は自然であり、女性専用車の利用率が低いという訳ではなさそうです。
通勤特急と急行を比べると急行のほうが利用率が低くなっている所に目が行ってしまいますが、これは通勤特急のほうが急行より受け持ち時間が長く、分担率が高いこの区間の特性だと言えます。
武蔵小杉を過ぎると急行の分担率・利用率が高くなり、通勤特急と同等になることもあり、最大混雑車両の混雑率が女性専用車利用率に影響するという基本特性を踏まえると、夕ラッシュ時において女性専用車を全区間において設定する意義はあり、その効果は現地調査をした限り出ていると考えています。
【まとめ】
以上のデータ、考察から、東横線の夕ラッシュ時の混雑は日比谷線の接続による影響が大きいことや、編成全体の混雑は以前調査した武蔵小杉~菊名間とは異なっており、自由が丘の階段位置が密接に関係している事が分かりました。
女性専用車の状況についてはまだ取得データが少ないため、限られたデータの中での判断となりますが、今回の結果を見ると、編成全体の混雑、その影響による女性専用車に近い車両の混雑が利用率決定の要素であると考えます。
基本的な利用思考に状況要因がプラスされて利用率増が見られることから、車両位置の構造的デメリットよりも編成の混雑率等利用増進要因メリットが増すケースは利用率が高くなるのだろうと判断しています。朝ラッシュ時の利用率が高い事もこの理由から示されそうです。