鉄道混雑研究ライブラリ 混雑ポイントの考え方

~4扉ロングシート車両を基準にした混雑ポイント算出方法基礎~

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混雑ポイントとは?

 当サイトでは、日頃皆様が鉄道各路線を実際に利用した時に利用者の視点で混雑状況を確認し、その結果をデータという形で蓄積し集積することにより「各路線の利用状況を大まかに把握してダイヤ案に活用させる」ことを目的として「混雑ポイント」という目安・指標を定めています。

 この目的ですが、文字ベースの議論で「~は混んでいるから増発すべき」という意見に対して「いや、私が見たときは適正だった」と反論したとしましょう。このやりとりを見て、他の人間はどう捉えるでしょうが?「混んでいる」がどの程度混んでいるか、逆に「適正」とはどの程度なのか判断しようがありません。

 実際の所、こうした意見の確認根拠(いつ、どこで、どの列車の、どの部分を見ての判断か)が示される事が無いのも、そこまで示しても肝心の混雑率状況を示す指標が無いため、具体的に示すまで至らないのだろうと、長年の掲示板運営の過程で捉えてきました。そこで、より意見交換を活発にするためには「意見交換するメンバーの混雑の捉え方に有る程度の客観的指標が必要」であると判断し、指標を策定するに至ったわけです。

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<混雑ポイントを覚えること・使うことのメリット>

 1.編成の混雑バランスが分かる
 2.ダイヤサイクルにおける各列車の混雑バランスが分かる
 3.路線・区間ごとのバランスが分かり、路線全体の絶対評価が出来る
 4.他の人の不正確な意見を鵜呑みにしなくなる
   →自分の中での論じる上での必要データが確立される
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 当然の事ながら人の目での判断計測ですから、誤差は含まれますが、基礎となる考え方は「実際の乗車人員」を根拠として定めているため、理屈の上では「混雑ポイントを逆算して乗車人員を導く」ことが出来ます。そのデータの信頼性について追求しても建設的ではないので、当サイトでは覚えるより慣れて適宜考え方を見直していきたいと思います。

 そういう状況でありますので、一定の「誤差が含まれるもの」であることが避けられませんが、「気軽にデータを収集できること」が重要であると考えておりまして、当面は使いながら修正していきたいと思います。こうした状況であることをデータを閲覧される皆様にはご理解いただきたく思います。

 単位が「ポイント(p)」で数値を用いていますが、それは便宜上であり「数字そのものは車内人数と比例関係は無い」ので、ご注意下さい。

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一般に使われる混雑率とは?

 「混雑率」とは一般的に「車両の定員数を100%」とし、それに対する乗車比率を示しています。各社考え方は若干違いますが、一般には「座席数+吊革数+ドア付近に数人」といった感じになるでしょうか。20m級と言われている車両の場合座席数が60席弱、吊革が70程度、ドア付近に3人ずつとするとドアが8枚有るので24人、合計して定員は140~150人でしょう。

 各社車内設備の差により数字はまちまちですが、首都圏各路線の朝ラッシュ時の混雑は200%以上にもなりますから、1車両に300人近くが乗車することになるようです(かなりおおざっぱな考え方ですが)。

 しかし、普段利用している中で「座席に何人座っているか」「吊革に何人掴まっているか」「ドア付近に何人いるか」ということを判断するのはたいへん難しいことです。おそらく「100%と120%の違いなんて瞬時には判断が出来ない」でしょう。これでは混雑データを取る事は現実的ではありません・・・・

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混雑ポイントの基本は「乗車過程を段階に区切る」こと

 それでは、混雑ポイントをどのように定めるかという事になりますが、これについては「駅の写真館」コンテンツ制作過程で得た車内調査の実績と日々乗車している際に計測した人数実測値を元に、車内の混んでいくプロセスの一定の法則(統計による)を導きだしました。その過程を車内人数で区切って、その段階を分かりやすく「見た目のイメージ」化することにより、見た目によって得たデータが少なくとも同レベルの混雑ポイントの範囲内に収まるようにしようと考えたのです。

 路線によって最終的な混雑が違うため、利用者がそれを踏まえた車内位置をキープすることが経験から分かっていますが、それを考慮することは正直限界があると思い、それは誤差の範囲ということで目をつぶることにしました。

 そして段階の区切り方ですが、「座席が埋まるまで」の段階、そこから「車内が満員になるまで」の段階をどの程度細かく区切ることが出来るか検討しましたが、参考文献を読むと、3等分とか5等分とか2で割り切れない判断は瞬時には難しいことが分かり、それならば2で割り切れる判断が可能なようにしようということで、座席が埋まる段階を4つにしました。半分の半分(1/4)区切りならば判断も難しくないと思いまして。

 次に、立ち客が埋まる段階をどのように区切るかですが、これも4段階が望ましいと思いましたが、座席が埋まっている段階から満員までを4段階に区切るのは見た目上区切るのが難しいことが予想されます。そこで車内の位置上ドア周辺部を仮想の座席と過程して、ここが埋まる過程を一つ設定すれば、あとは車内内部の混雑段階を面積割りする形(要検討ですが)で4つの区切りを設けることが出来そうです。

 ドア部に立てる人数は概ね3人ですが、車内の吊革を掴むことなくドア部だけに立つような状況は、せいぜい15~20人程度が限界ということが過去の測定から見えていたので、座席数(4扉ロング車の座席数54席を基準とします)とあいまってドア部までは同じ人数(概ね15人単位)で区切ることとしました。この混雑段階を「日中時の理想として100pを与える」こととし、座席埋まり段階を0~100、立ち客埋まり段階を100~200として段階区切りを設定することにしました。

 「各段階のポイントに対応する人数の考え方」は以下に示します。

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各段階の混雑ポイントに対応する人数の考え方

 実際車内には何人乗れるのかを考えることにより、各段階の想定人数を決めることにします。この検討にあたっては、山手線等に設定されている20m6扉車(朝ラッシュ時の椅子無し状態)から西武線等にある20m3扉車まで、幾つかのドア数・座席数パターン別の立ち客数を計測して判断しました。

 椅子無し車両で概ね360人前後が乗れることが分かったので、これを基準とし、椅子を一席設けることで何人立ち席が奪われるのかを上記データから算出、その結果300人程度と判断しました。よってこの300人を基にし、座席数、吊革数、車内各エリアの可能立席数から、各段階の人数割を決定しました。

<20m4扉車の混雑ポイント各段階の設定人数(期待人数範囲)>

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 なお、上記の計算方法により20m5扉、20m4扉ワイド、18m4扉、3扉車など、他の種類の車両についても数値的な見解はまとまりつつ有りますが、これが20m4扉車の混雑ポイントに対する係数補正で適用できるかどうか、ただいま検討中です。もう少しお時間を頂きたく思います。

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各段階の混雑ポイントの見た目について

 上記で決定した設定人数に見合う車内の見た目の状況について、再度車内で人数を計測し考え方を以下のようにまとめました。

<20m4扉車の混雑ポイント各段階の見た目解説一覧>

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 以上が混雑ポイントの考え方です。私も日々データ取りをして考え方の見直しをしていきたいと思いますので、皆さんも上記を参考にして現地調査を実施していただき、考え方についてご意見等伺えれば幸いです。宜しくお願いいたします。

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