【調査条件】
・平成18年3月14日(火)
・西新井駅浅草方にて60分間、発車時の混雑を定点観測
・運行状況はほぼ正常(7:22準急の2分遅れが最大)
【調査目的】
・3月18日のダイヤ改正でピーク時間帯の半蔵門線直通が増発されるパターンになるため、半蔵門線直通が人気なのか、現地で混雑を確認する。
【調査結果の要点】
・半蔵門線直通の区間準急の混雑が最も厳しく、女性専用車を含めて編成全体が満員状態である。
・準急は北千住における階段付近の車両が最も混むが、他の車両は区間準急と比べて幾分空いている。
・区間準急以外の女性専用車の利用率は極端に低く、機能していない状態である。
【考察】
優等は約10分サイクルに浅草行準急1本、北千住行準急1本、半蔵門線直通区間準急1本が設定されており、基本的に等間隔に設定されていますが、グラフを見て分かるとおり区間準急が最も混雑が厳しく、浅草行、北千住行の順に混雑率は下がっていきます。
区間準急が混むのは、半蔵門線直通であり曳舟で先行の準急に接続することから浅草方面に対しても戦力になる事が理由ですが、北千住までの利用者も当然乗りますから、ほぼ満員状態になっています。
魅力のある列車は全車両が乗り切れない状態だと女性専用車も満員になるという過去の調査から得た経験則があるのですが、区間準急については近い状態になっています。
準急浅草行は区間準急に近い混雑率を示しますが、10%近く混雑率は低くドア閉めの手こずりも無いです。前6両が浅草行で後4両が北千住で切り離されるため、前6両が混むかと思いましたが、実際には切り離し部分も含めて混雑率はあまり変わりませんでした。
準急北千住行は最も空いていますが、北千住行だから空いているというよりは、直前の区間準急が遅延気味になるため分担率が自然と下がっていくという印象を受けました。
事実きちんと前列車間隔がある列車は利用率が高くなっていますから、区間準急が正規のスジで走ればバランスは良くなるものと考えています。
準急の女性専用車については他の車両と比べて利用率が極端に低く、あまり利用されていない実状が示されます。この理由ですが、谷塚と竹ノ塚駅利用者の乗り換え駅として大きな機能を持つ西新井の構造が関係しているのではないかと考えました。
西新井は前寄せ停車であるため、日比谷線直通18m8両に対して優等系20m10両のうち後2両(浅草行普通の場合は前2両、後2両)は対面の車両がありません。
西新井の緩急接続はタイトなため、日比谷線直通のドアが開くと発車間際の優等に一気に流れるような感じですから、少しでも近い位置でかつ乗れる所にという意識は利用者にあるものと想定されます。
区間準急と違い、混雑が厳しくて乗れないケースが殆ど無い準急の場合、乗り換えでわざわざ女性専用車まで移動しないのでしょう。北千住まで5分という事も理由としてありそうです。
【まとめ】
調査から区間準急の混雑率が最も高いことが分かり(最混雑列車は西新井7:58発)、半蔵門線直通の魅力があることは確認されましたが、メインは北千住までの利用ですから、北千住までの混雑率が等しくなるように(区間準急の分担率を下げるため)多少の列車間隔の調整を行ったほうが良いのではないかという見解を得ました。
ただし、複々線で緩急が分離されており、日比谷線直通の本数が多いことから、優等が停車駅で何本分の乗り換え客を受けるかのバランスを調整することは実際のところ困難を極めると思います。
よって、結局は現行のままで良いのかなという結論になります。新ダイヤでも大きく変わらない事からしても、特段問題は無いという事なのではないでしょうか。