【調査条件】
・平成18年7月31日(月)
・下北沢駅小田原方にて90分間、到着時の混雑を定点観測
・運行状況はほぼ正常
【調査目的】
・複々線完成後の混雑状況を把握していなかったので調査する。
【調査結果の要点】
・緩急比率1:2のパターンで各列車の混雑率のバランスは良い。
・調査時期の関係で優等の弱冷房車の利用率が低い。
・女性専用車は60分ピークで見ると他の車両より空いているが、最ピーク帯の利用率は他の車両と同等になる。
【考察】
梅ヶ丘~喜多見間の複々線完成前の朝ラッシュ時は、成城学園前~新宿間で各駅停車は経堂で1本の優等を待避するのみでした。そのため下北沢着の段階では経堂追い越し無しの優等よりも車両によっては混むという状況でしたが、複々線延伸により2本待避となったため、成城学園前の段階であえて各駅停車に乗るという人は減ったと考えていました。
実際に調査した結果は上記ですが、相変わらず各駅停車の利用率は高いものの、優等よりは多少混雑が低くなっていますね。複々線が延伸されたといっても複線区間があるため、各駅停車の定時運行の観点から、この状況は以前よりも改善されていると思います。
注目すべきは続行の優等2本の利用率がほぼ同等であるという事でしょうか。
ダイヤを見ると分かりますが、各駅停車からの乗換が登戸と成城学園前で2本の優等にうまく分散されるようになっています。旧ダイヤでは少ない複々線区間における優等スジ速達化のため和泉多摩川~喜多見間で2本待避を実施していた訳ですから、大きな改善であると言えましょう。
本数は変わらずとも均等化が果たされたことは複々線延伸の大きな効果だったのではないでしょうか。
グラフは170%から190%という極めて狭い範囲を拡大して表示しています。それだけ全体的に混んでいて混雑のバランスが良いと言えます。そのなかの傾向を見てみると、調査時期が若干利用の少ない時期であり、かつ真夏日という事で弱冷房車の9両目の利用率が低いのが目立ったでしょうか。
また女性専用車の10両目は更に利用率が低く(各駅停車より低い)なっていますが、ピーク30分帯だけ見ると利用率が他の車両に迫っているので、全体混雑次第で決まってくるものと思います。おそらく通常期は9、10両目の利用率が高くなり、全体の混雑率はより均一化されていくのかな?と推測します。
以上の結果を見て、長らく続いている緩急比率1:2のパターンは妥当なのかな?と思うのですが、最ピーク時を見ると必ずしも各駅停車がワイドドアになっていなかったり、準急の位置、千代田線直通の設定位置など、いくつか掘り下げてみたい部分があるにはあります。
ただ、何となく長年の経験則的なニオイを感じるわけで、そのあたりを掘り下げるのは今後ダイヤの変化があった際にしたいかなと思います。
今回はあくまでパターン中のバランスを見る調査でしたので、「調査の結果、妥当な状態であったことが分かった」という事でまとめとしたいと思います。