【調査条件】
・平成18年9月21日(木)、9月27日(水)
・目黒駅の不動前方・白金台方双方で下り列車の発車・到着時の混雑を定点観測
・運行状況はほぼ正常
【調査目的】
・9/25のダイヤ改正を踏まえ、旧ダイヤ(21日)、新ダイヤ(27日)の調査をして利用状況を比較する。
【調査結果の要点】
・新ダイヤでは急行設定とあわせて増発されたため、全体の混雑率が減少した。。
・急行と各駅停車の利用率はさほど差が無い。
・夕ラッシュ時は地下鉄方面の利用率を100%とすると、目黒における乗降で20%程度増加する。
【考察】
<全体の混雑率>
旧ダイヤは各駅停車のみの5分間隔運転、新ダイヤは12分サイクルに急行1本、各停2本であるため、比較する時間帯を36分(新ダイヤ3サイクル)とし、旧ダイヤは36分間の8本を対象としました。
この時間帯における新ダイヤの本数は10本であり2本増発であるため、その増発分がそのまま混雑率の減少に結びついています。特に目立つ旧ダイヤの6両目の混雑率がぐっと下がっており、目黒における階段付近の集中が本数増によって緩和されたと見て良いでしょう。
注目すべきは急行の場合5~6両目の混雑が各駅停車と一致していない事でしょうか。6両目は不動前の階段が最後部であるため各駅停車は利用率が高くなるのに対して急行は利用率が高くないと言う事でしょう。
一方武蔵小山に便利な5両目が急行の場合利用率が高くなっているのも面白いところです。旧ダイヤでは地下鉄線内における混雑率が新ダイヤより高く、座れないので有れば便利な車両に乗るという傾向があるのに対して、新ダイヤでは増発により座れる人が増えたためか、旧ダイヤの混雑傾向が緩和されたのも注目点でしょうか。
<急行と各駅停車の利用率>
目黒到着時点で約85%が座れている状況であるため、列車種別を問わず利用率の差はさほど有りません。白金高輪で別系統の接続を受けない列車がやや空いていますが、逆に言い換えると、接続有無が殆ど関係ないという事は白金高輪までの区間で武蔵小杉行の狙い率が高いという事なのかもしれません。殆ど座れていますしね。
グラフを見ると急行の利用率が高くなっていますが、ホームで見る限り、武蔵小山より先を利用する人は急行を待っているようでした。にも関わらずさほど利用率の差が出ないのは前述の通り目黒までの利用率が殆ど変わらないこと、座っている人はあえて(目黒の段階では)急行に乗り換えないことが理由でしょう。
今後は地下鉄線内の段階で武蔵小山で待避各駅停車を避けて急行に乗る人が出るかもしれませんが、急行に座れる保証がなく、所要時間の短縮もさほどではないため、それほど変化しないと予想します。
ダイヤ改正後は急行と各駅停車の利用率は殆ど変わらず、増発効果のほうが大きいため利用率の差は気にならない状況であるとまとめられるでしょうか。
<目黒における乗降>
新旧ダイヤから混雑ポイント比率で目黒着と目黒発の差は25%程度で、乗降共にあることを踏まえると目黒発段階の3割程度が目黒からの利用と考えられます。このことから日中時と比較して通勤ラッシュ時は地下鉄直通比率が高くなっており、施策の狙い通り東横線のバイパス機能を有していると見て良いと思います。