【調査条件】
・平成18年10月27日(金)
・北千住駅つくば方で上り列車の到着時の混雑を60分定点観測
・運行状況はほぼ正常
【調査目的】
・開業1年後の状況を確認すべく確認する
【調査結果の要点】
・快速と区間快速はほぼ同等の利用率で最ピーク時間帯では180%近くの混雑率である。
・8時~8時半頃が最混雑時間帯で、以降は混雑率が減少していく。減少率は優等・普通とも同等である。
・編成全体の混雑率は女性専用車を含めて優等はほぼ同等で、普通は前より車両がやや高い。
【考察】
今回の調査時間として定めた北千住着7:45~8:45の1時間は、快速1本、区間快速1本、普通2本の15分サイクル時間帯7:30~9:00の中間という事で選びました。本数が多いため利用率が高い時間帯と推測したからです。
しかし、実際には7:45頃の混雑も厳しく、8:30を過ぎると利用率が減少しています。よって60分間の利用率という観点での考察は次回以降に持ち越しとし、今回は最ピーク帯30分を見ることとします。 ※グラフも30分ピークのグラフです。
<混雑率の傾向について>
快速・区間快速とも170~180%の混雑率となっており、優等列車の利用率は既存の混雑路線と遜色無い状況になっています。一方普通は100%弱という状況で、決して空いている訳ではありませんが、緩急の格差があると言えましょう。
注目すべきは南流山~北千住間の停車駅の違う快速と区間快速の利用率がほぼ同等であることと、2本の普通が八潮における緩急接続の有無の差があるにも関わらず利用率がほぼ同等であることでしょうか。
快速と区間快速については、守谷~南流山間における前列車間隔が広い快速のほうが南流山の段階では混んでいて、区間快速が三郷中央、八潮の集客により快速と等しくなるのでしょう。
普通については、八潮で区間快速と緩急接続する列車のほうが八潮で区間快速に流れるため空くものの、八潮~北千住間の前列車間隔が一方の列車より1.5倍開いているため、北千住の段階では利用率が等しくなるのでしょう。そういう意味では現行の15分サイクルはバランスが良いと言えるのかもしれませんね。
<南流山~北千住間の緩急分離について>
12月8日にダイヤ改正をするという事がこの考察を書いている段階で分かっているのですが、八潮待避を無くして混雑率の均等化を図るというプレス表現から、優等が混みすぎていて普通にシフトさせたい印象を受けますが、北千住で調査した限り快速・区間快速は満員に近いといってもまだ乗れるバッファは見受けられましたし、限界という感じはしませんでした。
普通の利用率を見てみると、北千住の段階で編成あたり1,000~1,100p程度の利用状況ですが、以前八潮始発が設定されている時間帯の調査(No.22)から、八潮、六町、青井の乗車による増が約4割程度であることが分かりましたので、これを当てはめると、三郷中央の段階では600p程度となり、おそらく南流山の段階では500p程度と推測が出来ます。
すなわち普通は南流山を発車する段階では立ち客が少々居る程度であり、北千住方面に先着しない普通は座れない限り殆ど選択されていないという事になります。
すなわち、待避を無くして先着にすれば現行より普通が利用されるという事なのでしょう。スジを考えると、普通が集客するのは優等出発後の2分ぶんという事でさしたる差はないのかもしれません。しかし、八潮で待避をする事から南流山で下車して後続の列車に乗り換える人がそのまま乗り通すことになるため、幾分普通を利用する人が増えると考えられます。
<今回の朝ラッシュ時のダイヤ変更とは>
上記の見解から、今回のダイヤ改正は抜本的な優等の混雑緩和にはならないと思います。それでもなお実施する意味としては、現行輸送力のままで今後の輸送量増に向けて少しでも対応しておこうという事なのではないかと考えています。
優等の混雑率だけを緩和したいならば、増発やサイクル変更という手段が考えられますが、今回基本的になバランスを変えなかった事から、当面は現行のサイクル・パターンが沿線各エリアに対して適当なバランスと見ているのでしょう。
普通は空いているものの、今後近距離区間の利用率が増えるため優等に格上げすることはしないという見方が出来るのかもしれません。