【調査条件】
・平成18年11月12日(日)
・梅田駅の十三方で上下列車の発車・到着時の混雑を各線10分定点観測
・運行状況はほぼ正常
【調査目的】
・3線の日曜日の夕方における利用状況を把握すべく、現状を確認する。
【調査結果の要点】
・梅田発列車を見ると、京都線・神戸線特急、宝塚線急行はほぼ同程度の利用率。
・京都線は10分サイクルに3本設定されており、他の2線に比べて列車による利用率のバラツキが大きい。
・梅田の構造上、3線とも梅田側車両の利用率が高いが、京都線特急だけは編成全体に満遍なく乗っている。
【考察】
<3線の利用率比較>
3線を10分ずつ見ました。同じタイミングでの調査ではないので、輸送量を比較する条件としては些か誤差があると思いますが、さほど変わらないと判断して同じグラフに示してみました。
グラフを見ると、3線とも梅田駅の構造上梅田側の車両の利用率が高くなっており、阪急3線の基本的混雑傾向であると思いますが、その中で京都線の特急だけが比較的編成全体が満遍なく利用されており、他の列車と比較して特徴的です。
満遍なく利用されているが故か、梅田側車両の混雑率の高さという観点では神戸線特急・宝塚線急行と比べて低くなっており、6300系2扉クロスという車両環境(データはロング相当の補正をかけています)、京阪間直通利用の多さ、河原町と梅田の階段位置、特急に利用が集中するダイヤであることが要因であると考えます。面白い部分ですね!!
<宝塚線について>
急行と普通の10分サイクルで、現行ダイヤは庄内待避が無いため普通でも豊中以遠の利用は有るものの、基本的に豊中以遠は急行利用が大半で、近距離区間が普通利用と見て良いと思います。
その上で利用率のバランスを見ると、当然急行の利用率が高いものの、普通の利用率もそれほど低くなく結構良いバランスであると感じます。普通の中央部の車輌の利用率が高いのは便利な位置だからでしょうね。
<神戸線について>
特急が夙川に停車するようになりましたが、緩急接続が西宮北口であるため、梅田側の利用率はさほど変わらないと考えています。その上で見てみると、宝塚線同様に特急の利用率が高くなっているものの、普通の利用率も宝塚線ほどでは無いにしろ有り、不変の10分サイクル(笑)は分かりやすく利用率の面でも適正なダイヤだと思います。
普通の一部車両の利用率が高いのは乗降に便利な車両だからだと思いますが、神戸線は宝塚線に比べて駅数が少ないので、利用率の差が編成中で目立つのでしょう。
<京都線について>
宝塚線・神戸線と異なり10分サイクルに特急、急行、普通の3本が設定されています。輸送力は1.5倍あるものの、データの通り輸送量は1.5倍になっていませんから、宝塚線・神戸線と異なり空いてしまう列車が出来てしまうわけです。かといって宝塚線・神戸線同様の本数では混雑率が高くなるため、現行で良いのだとは思いますが・・・
上り河原町方面は急行が空き、下り梅田方面は普通が空いています。これは上下ダイヤの違いによるもので、淡路における急行と普通の接続関係が影響してくるものと考えます。
説明しますと、千里線と正雀までの普通のみ停車区間を利用する場合、上りは急行に乗っても接続する列車が無く、後続の普通に乗っても到着が同じになってしまうのですが、下りは千里線からの普通が淡路で急行に接続したのち後続の高槻市発普通に接続するパターンであるため、千里線からは梅田方面に対して急行が利用できるということです。
すなわち上下の差は千里線利用者が急行に乗るか普通に乗るかという事になるわけで、思いのほか千里線利用者が居るなという印象を受けます。
上りの急行の利用率が低いという事は大半が特急を利用しているという事であり、淡路、南茨木の利用者だけでは集客が出来ないという事でしょう。これで特急が混んでいたらバランスが悪いという判断になるのでしょうが、実際は2線と比較してそうとは言えませんので、見直すとすれば急行のあり方になるのかと思います。下りについては、淡路で集客しているため利用率が高いものの、近距離区間ですから急行としての速達機能が発揮されているとは言えません。
こうした状況から、急行の利用率を高める調整を実施し、千里線方面のアクセス(=直通増発)がなされても良いのではないかと考えた次第です。