【調査条件】
・平成18年12月20日(水)
・北千住駅つくば方で上り列車の到着時の混雑を70分定点観測
・運行状況はほぼ正常
【調査目的】
・12月8日ダイヤ改正後の流動変化及び各列車の混雑率の変化を確認する。
【調査結果の要点】
・八潮待避が無くなった事による優等から普通へのシフトは約16%。
・快速よりも区間快速の混雑が緩和された。
・半数の普通の混雑が顕著になった。
【考察】
<新旧ダイヤの全体比較>
グラフの上の新旧ダイヤ比較をご覧頂ければ分かるとおり、旧ダイヤと比較して、快速は平均9.4%の減、区間快速は平均22.7%の減、普通が平均16.1%の増となっており、狙いであった南流山~北千住間の優等から普通へのシフトは果たされたと言えましょう。
ただし、快速の1両目、5両目は旧ダイヤと殆ど変わっておらず、便利な位置の車両は従来通りの混雑である事から、混雑は変わらず速度が落ちたと判断する利用客も居るかもしれません。
<快速の変化について>
快速の混雑率の変化は9.4%でした。これを混雑ポイントで示すと1列車あたり105pで、これが旧ダイヤ時に八潮で待避するため後続の快速に乗り換えていた人が新ダイヤ時に普通乗り通しとなったシフト量です。6両編成なので1両あたり20p弱であり、あまりシフトしていない印象です。
なぜこれだけしかシフトしないか考えてみましたが、旧ダイヤ時にそもそも普通の利用率が低く、立っている人は殆ど快速に乗り換えているという状況であったとすれば、残りは座っているため待避はあまり関係が無かったと捉える事ができます。これは新ダイヤの南流山の発車時を見れば確認出来ることなので、後日調査をしますね。
<区間快速の変化について>
区間快速の混雑率の変化は22.7%でした。快速と比べて変化が大きい印象ですが、快速と異なり三郷中央、八潮で集客していたのが旧ダイヤですから、この2駅の集客に変化があったという事でしょう。
旧ダイヤでは八潮で普通と緩急接続していたため、実質南流山~八潮間は直前の普通は集客しない状態であったと思われます。すなわち15分サイクルにおける10分半ぶんの集客をしていたのが新ダイヤでは3分半になった訳で、大幅混雑緩和も頷けます。
<普通の変化について>
普通の混雑率の変化は16.1%の増ですが、もう少し細かく見てみると、快速待避が無待避になった列車は殆ど混雑が変わって居らず(1列車あたり27.5pの減)、区間快速待避が無待避になった列車は大幅に混雑率が高くなっている(1列車あたり415pの増)ことが分かります。
前者は旧ダイヤでは南流山~三郷中央間で前列車間隔5分、八潮~青井間で前列車間隔6分だったのが、新ダイヤでは無待避で快速からシフトがあったものの、南流山~八潮間は区間快速直後で前列車間隔3分、六町~青井間が前列車間隔8分となり、あわせて微減になりました。
後者は旧ダイヤでは八潮で区間快速と緩急接続をするため八潮までの集客力は無く、六町~青井間の前列車間隔9分で集客していたのが、新ダイヤでは区間快速を待避しない事によるシフト及び南流山~青井間総てで前列車間隔8分となり、一気に集客するようになってしまいました。
<新ダイヤの傾向>
上記で示したように、優等から普通へのシフトは果たされたものの、依然として混雑している車両があること、また普通の混雑が半数の列車に集中してしまった事が今後の修正課題として残ったように思います。最ピーク時の普通は区間快速に迫る混雑率で、停車駅が多いせいか北千住の到着遅延が見られ、後続の区間快速の遅延をも引き起こしていました。
現行の15分サイクルは快速の徐行を許容し、なんとか南流山~北千住間を待避無しで組んでいますが、普通がスジ通り走ってギリギリ保たれるような余裕の無さであり、普通の混雑のバラツキを考えると、快速が乗れるだけ乗せて速達していた旧ダイヤのほうがスマートだったのかな?と感じます。
上記グラフの通り旧ダイヤの最混雑は区間快速であり、その区間快速が混んでいるのは南流山~八潮間で集客していたためですから、単に区間快速の混雑緩和をさせるなら、区間快速だけ八潮待避を無くすという手段もあるわけで(普通の間隔修正に伴う利用率変化の検討が必要ですが)、快速を犠牲にするのは何となく勿体ない感じがします。
とはいえ、そのあたりはTXも考えているでしょうから、今後八潮の待避有無、増発、優等停車駅の見直し等、様々な検討がなされて行くのではないかと予想しています。