【調査条件】
・平成19年1月4日(木)
・烏丸、桂、高槻市、茨木市、淡路、十三駅で上下列車の発着時の混雑を各20分定点観測
・運行状況はほぼ正常
【調査目的】
・2007年春にダイヤ改正が実施されるのを踏まえ、現行ダイヤの流動変化及び各列車の混雑率を確認する。
【調査結果の要点】
・特急は調査時間帯において50%前後の利用率であり、全線に渡り一定数利用されている。
・急行は調査時間帯において20%前後の利用率であり、梅田~淡路、桂~河原町の端部区間利用が多い。
・普通は調査時間帯において10~30%の利用率であり、淡路から茨木市にかけて利用率が減少している。
【考察】
<全線の利用傾向について>
グラフをご覧頂くと分かるとおり、特急が全線に渡り利用率が高く、急行は優等運転する梅田側、各駅に停車する河原町側ともに特急の4割程度の利用率になっています。
高槻市~長岡天神間の利用の谷から梅田側、京都側に向かって利用が増えていく流動に対して、梅田側は18本、河原町側は12本が設定されていますが、特急の利用率がほぼ一定であることと、利用率の高い梅田側(十三)と河原町側(烏丸)の急行、普通の利用率がほぼ同等であるため、本数設定のバランスは妥当であると判断できます。
しかし、この最混雑部のバランスを重視しているがためか、中間区間において急行と普通の利用率が低くなっており、種別ごとの利用率のバランスがやや悪いという捉え方もできるのかもしれません。
<特急の混雑傾向>
調査時間帯が3時間とやや長くなっており、新年4日で初詣利用があることと、あくまで上下平均であることから、このグラフの結果で流動を断定する事はできませんけれども、傾向として、前述の通り全線を通して利用率が高いことと、梅田側については急行が優等運転することから必ずしも特急だけに利用が集中している訳ではない(高槻市~長岡天神間の利用率と比べて混雑率が高くなっていない)という事は言えるかと思います。
以前と比べて停車駅が増えていますが、10分間隔で運転され緩急接続を基本にしているため利用率が高くなるのは仕方ないところで、逆に捉えると利用できる人が多くなる利便性の高い停車駅パターンとも言えそうです。
新ダイヤで淡路に停車する事により特急の利用率も少なからず変化が出てくると思いますが、現行の急行が十三~淡路間で下りだけ利用率が高いところを見ると、淡路の接続関係次第かなという気はします。
<急行の混雑傾向>
グラフの通り、十三~淡路間、桂~烏丸間の利用率が高くなっており、利用の多い端部区間で機能する列車と言えそうです。梅田側については、十三~淡路間で下りのみ利用率が高くなっています。これは上下でダイヤが異なっているためで、上りは急行は淡路で千里線方面に接続しないため、梅田からは結局普通を利用するしかないのに対して、下りは千里線本面から急行に接続するため、梅田先着列車である急行に利用が集中するのです。
つまりダイヤが変われば上下とも利用率が低くなり普通のほうが利用率が高くなる可能性が高くなってしまいます。すなわち特急の補佐的機能だけでは利用率は高くならないという事であり、準急化は妥当と言えるのかもしれません。
<普通の混雑傾向>
梅田、堺筋線方面と高槻市、北千里を結ぶ流動があるため4系統の普通が淡路で接続するパターンになっており、基本的に梅田、堺筋線方面に向かって利用率が高くなっていく流動と言えます。ところが前述の通り、梅田~淡路間の下りに関しては急行が千里線の利用客を集客するため、グラフでは淡路付近の利用率が高く出ています。
新ダイヤでは淡路での待避を無くし、相川や正雀といった近距離普通利用駅に対する利便性を向上させますが、現状が比較的利用率が高いのに待避があって所要時間がかかっている事はダイヤから明らかで、待避解消の準急設定により近距離区間に対するフォロー(今里筋線対策)をするという事なのでしょう。これは適切な改善だと思います。