2010年3月24日

京王線2010年3月19日修正ダイヤ分析

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 2010年3月19日にダイヤ修正した京王線の新ダイヤについて分析したいと思います。

 今回の変更要旨は公式ソースによると、

 1)定時運行確保のため、所要時間の見直し
 2)日中時間帯の快速と相模原線各停の10両化

 が柱ですが、1)の変更がかなり多岐に渡っていることと、相模原線で運用されることになった新ATC導入の対応という側面があることがポイントなのかな?と思います。

 以下、コメントです!!

 <朝ラッシュ時の定時運行確保について>

 主たる変更時間帯は朝ラッシュ時という事で、相模原線内は別にして、調布~新宿間の変更について見てみたいと思います。

 前述のダイヤグラム作成時に、前回ダイヤと見比べながらスジ引きしてみたのですが、明大前着8:00頃の列車は千歳烏山~明大前間の各所で若干ずつスジが寝て、概ね2分程度余裕を見たような感じになっています。

 この時間帯以降の最ピーク時間帯については、明大前における10分サイクル5本運行を諦めたかのように停車時間余裕を追加させており、最ピーク3サイクルは新宿口で11分サイクルになっていますね。この時間帯の列車は前述の2分に更に2分、新宿の発着間合の関係で更に1分余裕を見ている列車まであり、結果旧ダイヤと比べて5分追加になっている列車もあります。

 それ以降は停車時間の余裕を見る必要がなくなるのか、少しずつスジが起きていて、出来る限り詰めているかのような感じです。

 以上が朝ラッシュ時の変更になる訳ですが、この変更が妥当なのかどうか、過去の調査結果から、若干コメントしてみたいと思います。

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 <2003年12月1日改定ダイヤ時調査>

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 これは、長らくつつじヶ丘~笹塚間で緩急比率1:1パターンを組んでいたのを、速達化を踏まえて緩急比率変更を行った2003年の改正ダイヤの調査を2005年に行ったものです。

 それまでの、「乗れるだけ優等に乗る」「優等に乗れない人は各駅停車に乗る」という分かりやすい利用ロジック、「各駅停車のスジを出来る限り立てるため桜上水の発着番線を工夫する」といった徹底したパターンを崩したものであります。

 調布の接続を工夫させ、12分サイクルにおける3本の優等の混雑バランスも良かった旧パターンと比べると、優等がなまじ増えてしまったがために、中途半端な混雑の列車が増えてしまい、遅延を増長する形になったことが、混雑傾向と運転間隔から読み取れます。

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 このダイヤにおいて問題視されたのが新宿行急行の混雑で、新宿までの所要時間を短縮するという目的を持った列車であったこともあり、スジ上の集客力が半端なく、結果最混雑列車になっていました。

 旧ダイヤも同等の混雑の列車はありましたが、他の優等とのバランスもあって、次回ダイヤ改定で是正がされる事になります。

 混雑面だけなら、是正はされなかったでしょうが、10分間隔で発車するはずの急行の時刻を見て分かるとおり、調査日のピーク時の遅延は顕著に目立っていました。他の列車も同様に遅延していますが、到着状況から(前列車に詰め切れていない)この急行が牽引役であったことは明らかでした。

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 <2006年9月1日改定ダイヤ時調査>

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 続いて、前ダイヤの問題点を踏まえて修正した、2006年9月1日改正ダイヤの調査です。

 優等の普通待避パターンを変更させ、最混雑であった新宿行急行を八幡山で普通を追い越さない設定にしたことで、直前の比較的空いている都営線直通優等を利用して、笹塚で各駅停車に乗り換えさせて分散させる狙いがありました。

 その狙いはバッチリで、新宿行急行の混雑率はやや下がり、直前の都営線直通優等との混雑差も縮まりました。

 しかし、その反面、やっぱりスジ上速くなってしまう便利スジが混むのは利用者心理の摂理ってものでしょうか、新宿行急行直後の通勤快速の混雑が高くなってしまいました。

 この列車が結局遅延要因になってしまうのは、仕方ないのかなぁ・・・というのが2つのダイヤを調査して感じた印象です。

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 以上のデータから、最ピークは10分間で5本が捌けないなぁというのが率直な印象です。

 そういう意味で新ダイヤの最ピーク時の11分間隔というのは、まあ妥当かな?という印象ですが、それは現行ダイヤの発車時刻があってこその実情ってものがあるでしょうから、時刻まで下げてしまうと、実際どうなってしまうのか?というのは興味があるところです。

 新ダイヤについては、変更事項、箇所そのものについては概ね納得はしています!!

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 <相模原線内の時刻の見直しについて>

 続いて、相模原線内の時刻の見直しについてです。

 正直、新ATSの仕組みがよく分かっておらず、既存の運行形態を維持できるものなのか、出来ないものなのか、出来るけれど当面できないのか、さっぱりわかりませんが、今回の修正点から言えることは、「今回は若干余裕目の設定をした」という事でしょうか。

 上下ダイヤとも、旧ダイヤと比較すると、多摩センター、若葉台前後の発着に余裕を持たせているようですね。下りについては橋本到着時にもやや余裕を見ているようなので、構内駅、終端駅におけるスジの設定が変わったのかな?という印象です。

 朝ラッシュ時の上りのスジは旧ダイヤから5分早まっているのが強烈な印象ですが、内訳を見てみると、調布以遠スジが2分早まっているのと、調布手前の入線余裕を1分見ているのと、前述の多摩センターと若葉台の余裕1分を見ている合計時間なので、仕方ないといえば仕方ない感じでしょうか。

 今後ATCがこなれたり、調布が地下化されれば京王多摩川~調布間のスジが抜本的に短くなるので(今は相当余裕を見ていますからね)、再度改善する芽は大いにあるでしょうから、しばらく我慢する形になりそうですね。

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 以上、京王線のダイヤ修正について、思うところコメントしてみました!!