2012年7月10日

西武池袋線2012年6月30日改正ダイヤを分析する!!

120710.jpg

 西武池袋線の2012年6月30日改正ダイヤについて、西武時刻表24号をもとに新しいダイヤグラムを作成したので分析したいと思います。

 今回の改正は石神井公園駅の下りホーム完成という施設的変化のタイミングで実施されましたが、まだ練馬高野台~石神井公園の下り線の2線化が完成しておらず、副都心線と東急東横線が直通を開始するタイミングで行われるものと思われるダイヤ改正を見据えた事前調整の意味合いが強いかと思います。

 しかしながら従来ダイヤと比較すると結構変更した部分もあり、施設改修によって可能になった変更は今回やっておいたのかなと考えます。

 以下、時間帯別にコメントします。

120710_01.gif
図-1:朝ラッシュ時ダイヤ(上り)

 朝ラッシュ時の変化としては、石神井公園~練馬高野台間の上り2線化および石神井公園の引上線暫定使用開始に伴い、従来の練馬高野台発を石神井公園発に変更したことのみが挙げられ、あとは一部列車において1分程度の時間修正があったのみです。

 練馬高野台~練馬間の各駅停車は従来ダイヤでも5分間隔を維持していたのですが、それを延長する形で石神井公園~練馬間に拡大した形になっています。

 従来ダイヤでは石神井公園~練馬高野台間が複線ということもあり、練馬高野台間が時間調整ポイントになっていましたが、石神井公園のホームの段階で緩急分離が可能になったことから、石神井公園を時間調整ポイントにし、従来ダイヤよりも練馬着が若干早まる形にして、地下鉄直通の遅延防止を図っています(練馬発からほぼ従来通り)。

120710_02.gif
図-2:日中時ダイヤ(下り)

 日中時ダイヤの下りについては、池袋発の優等列車の等間隔化を図るという表現の元、準急の本数を1本削減しています。一方地下鉄直通についても有楽町線系統の準急を各駅停車化するとともに、全体的に運転区間の短縮を図っています。

 このように、全体的に見ると本数整理の修正という事になりますが、従来ダイヤの本数が利用に対して多かったという見方のほうが正しいのかなと感じます。

 ダイヤ改正の変遷を見てみると、石神井公園までの複々線化工事を進めていくなか、必要な設備が完成していないまま、地下鉄直通の本数が増えていたのがここ数年の状況であったのかなぁと捉えると、今回の本数整理はまぁ妥当なところかなと考えることが出来るかと思います。

 池袋発の削減が快速急行直後設定の準急であることや、運転区間短縮が地下鉄直通系統であることから見て、極力利便性は維持したという事なのでしょう。

 新ダイヤにも良い所はあります。

 例えば、従来ダイヤにおいて毎時33分発の準急が前優等間隔15分で他優等より混んでいたのが、新ダイヤでは12分に改善されているなど、優等列車等間隔化が利用の均等化に寄与しそうです。

 また準急削減のフォローなのか分かりませんが、各駅停車の東長崎待避を極力避けた結果、7本が練馬まで先着、地下鉄直通系統乗継を含めて4本が石神井公園まで先着できる形になっています。

 石神井公園の緩急接続が可能になったという事もありましょうが、練馬で優等と各駅停車が接続するパターンは減り、石神井公園で接続するパターンが増えた事で、練馬~石神井公園間の有効列車が増えているという面もプラスな感じです。

 このように本数が減っていても、各列車が有効列車になるよう設定になっている点は良いと思います。

 ただ、急行のひばりヶ丘における緩急接続が無くなっていたり、快速のスジが旧ダイヤと同様に利用率が低くなりそうな設定であるなど、惜しい点もあります。

 急行と快速の関係性は、今回の改正であまり変わっていないところを見ると、今後も維持されるパターンなのかなぁという気がしないでもないですが、現行の快速が所沢で3分近くの時間調整をした上で急行と10分間隔になるような設定なので、もう少し練馬~所沢間のスジを遅らせたいかなと思います。

 このあたりは石神井公園までの複々線が完成した時に良い方向に修正されることを期待したいですね!!

120710_03.gif
図-3:日中時ダイヤ(上り)

 日中時ダイヤの上りについては、下りとはダイヤパターンがやや異なっています。

 これは従来ダイヤ時からそうなっており、ダイヤ構成上ひっくり返しパターンに出来ないという事なのでしょう。

 池袋口の優等は下りと同様に等間隔化がなされており、下りと同様に準急の前列車間隔が15分開くというパターンが無くなっている点は改善と言えましょう。

 1本削減された準急は旧ダイヤで快速急行と急行の10分間隔の中に挿入されたいた列車という事もあり、削減されても最も影響が無い形になっているのは幸いなところかと思います。

 快速が練馬で接続する各駅停車が池袋への先着という形は維持されており、上りに関しては本数が整理されても、輸送上のキモとなる部分がちゃんとしているので、結構良いダイヤになっている印象です。

 懸念としては、石神井公園~練馬間の各駅停車の運転間隔が本数の割にバラつきがあり、前列車間隔が大きい各駅停車が快速の練馬接続を受けて混みそうなことと、石神井公園で急行と接続する設定になっている地下鉄直通各駅停車のスジがやや余裕が無いことが挙げられます。

 前者については利用率がそこそこの範囲で収まるなら問題ないとも感じるところで、実際の利用状況を見てみたいところかな。

120710_04.gif
図-4:夕ラッシュ時ダイヤ(下り)

 最後に夕ラッシュ時についてですが、複々線化は完成していないものの、石神井公園で緩急接続が出来るようになったことで、結構変わっています。

 本数のトータルは変わりませんが、池袋口において通勤準急を準急、準急を快速、有楽町線からの直通準急を各駅停車に変更するとともに、各駅停車の運転区間を一部短縮しています。

 運転本数の削減は日中時ダイヤに比べると少なく、短縮区間も「差」だけ見ると清瀬行2本が石神井公園行になっただけで、全体的に見ると混雑均等化を図るとともに利便性を高めていることが分かります。

 夕ラッシュ時ダイヤのポイントは、特急前後の優等をどう処理するか?という部分が大きく、旧ダイヤにおいては練馬で特急を待避する形で準急を設定していましたが、やはり利便性が落ちる時間帯にはなっていました。

 新ダイヤではこの準急を快速にし、特急の直後発かつ小手指まで後続の急行より先着する形としたことで、飯能行急行の直前列車として混雑緩和に大きく寄与できる設定になったと思います。

 通勤準急の準急化は、石神井公園利用者が準急も利用できることによる混雑分散の効果が大きく、地下鉄直通準急の各駅停車化(練馬で快速接続だったため優等機能が弱かった列車)の補てんの意味合いでも、良かったのではないかと思います。

 特急と急行を10分間隔の分かりやすい設定にする旨が公式ソースには記載されていましたが、それ以外の部分に大きな改善点がありそうだというのが率直な印象です。

 夕ラッシュ時については実際の利用状況を確認してみたいと思いました。

 以上です!!