2012年8月11日

2012年8月10日京王線明大前日中時利用状況調査

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 2012年8月10日に京王線明大前日中時利用状況調査として15時台の上下列車を2サイクルずつ(40分間)調査しましたので、報告します!!

 以下、上下別にコメントします。

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【下り方面】

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図-1:下り列車利用状況データ

 <全体の傾向>

 まず、下りですが、グラフを見て頂ければ分かる通り、利用のボリュームで見ると、準特急、快速、急行、各駅停車という順番になっていますが、準特急が編成まんべんなく利用率が高いのに対して、その他の列車は利用の高い位置、低い位置があるという違いがあります。

 利用の多い中間車両で見れば、利用の差は少なく、そういう意味では総ての列車が機能している(利用の少ない列車が無い)と捉えることが出来るでしょう。

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 <準特急の状況について>

 編成全体の座席が埋まり、混雑部に立ち客が少々出るような状況は理想的な利用状況と言えそうです。

 新宿と明大前の乗車で成り立つ状況ですが、ダイヤパターン上、調布以遠の利用であれば大半の利用が準特急に集中するところですが、それでもなおこの程度になっているのは、近距離区間とのバランスがこの程度という事になろうかと思います。

 もちろん空いた急行や快速の乗り通しを選択するといった準特急回避の利用もあっての結果ではあると思いますが、それで良いと思うんですよね。

 京王八王子、高尾山口の行先の違い、調布で接続する列車が急行、快速の違い、新宿において直後に快速がある、ないといった差が20分サイクルの中ではあるにも関わらず、殆ど利用が一定になっているのは、準特急の性格上、調布まで行けば相模原線方面に行ける(急行もしくは後続の始発各駅停車、快速)、府中に行けば各駅停車に乗り換えられる、北野に行けば別系統列車に乗り換えられるといった感じで、考えることなく先発列車に乗れば良い列車であることが大きいのかなと思います。

 現行の疑似10分サイクルが優れているのはそういう所だと思われ、停車駅の異なる特急・準特急交互時代よりも、むしろバランス的には良いように思いますね。

 前述のような状況のため、現行の利用率程度であれば準特急の利用率を下げるために何かを変えるというのは得策ではないように感じます。

 以上のような機能を有しての利用率のため、例えば調布で相模原線に接続しなくなって、後続の下位優等に乗っても結果同じとなれば、多少は利用がシフトして利用率が下がるかもしれませんが、そんなのが便利か?というと疑問です。

 利用率が高いのであれば本数自体増やせば1本あたりの利用率が下がるという考え方もありますが、列車によって接続がまちまちだったり、前列車運転間隔がマチマチだと利用率が高い列車が残り、使いづらくなる、所要時間が長くなるケースが出たりするなどデメリットが大きいのかな?と。

 結局のところ、接続パターンが理想的な現行ダイヤが限られた列車本数設定のなかではベストではないかもしれませんが、ベターな形なのではないかな?と思います。

 だからといって今後も変えるべきではないと考えている訳ではなく、上記の利用のキモになる部分が維持されれば、特急と準特急の併存時代程度の停車駅差、スジ差は良いのかなとは思っていまして、今後のダイヤには期待したいところであります。

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 <急行の状況について>

 急行は都営線からの直通系統という事で、他の列車とは利用傾向が異なります。

 新宿の階段位置から新宿発の列車は編成中間から後部車両の利用率が高くなるのですが、急行は比較的万遍なく利用されています。

 が、利用的には比較的少なく、笹塚で新宿発の各駅停車に接続して、明大前においても各駅停車の直前発設定の割には空いている印象です。

 都営線からの利用が新宿発利用と比較して少ないという事なのでしょうが、笹塚、明大前からは列車のもつ機能も多いのかというと少ないのかもしれません。

 準特急の直後発設定という事で、相模原線方面利用に関しても準特急利用のほうが先に着く訳ですし、調布までの機能を見ても停車駅が桜上水、千歳烏山、つつじヶ丘の3駅のみで、柴崎~布田の3駅利用者は急行を選択すると思いますが、仙川までの各駅停車駅利用者は使えないところで快速よりも集客範囲が狭いという部分が利用に影響していそうです。

 現行パターンでは後続の各駅停車も10両なので、急行の利用率を上げないとバランスが良くないという状況ではありませんが、仮に各駅停車が8両だと、もう少し急行にシフトさせても良さそうな気もします。

 前述の通り準特急からのシフトは相当難しく、やるとすれば各駅停車からのシフトによる利用バランス改善かなと思いますが、単純に快速にすれば良いかというとスジ的に厳しいところではあり、やって仙川追加停車くらいかなというのがオイラの見解ですが、都営線直通系統なのでスジ的にやや余裕があっても良いのかもしれません。

 下り方面特有の利用率の低さという事もあり、現行パターンでも良いのかなとは思います。

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 <快速の状況について>

 新宿発かつ20分間隔の下位優等という設定上、まとまった利用がある印象の種別です。

 新宿2番線の発車という事で、階段位置が後部にあることから後部車両から座席が埋まっていく事が伺える状況です。

 そのような新宿発のベースに笹塚において新線からの乗換、明大前の乗車があるため、前より車両で空席があるにも関わらず後部には立ち客も少々居るというハッキリした傾向が出ています。

 停車駅が多く急行と比べて集客機能がある事から後部車両は準特急レベルになっており、万能ではありますが、ダイヤが相当カツカツで遅延しやすいところは利用とは別の問題ですが、何とかしてあげたい部分はあります。

 後続の各駅停車が8両で比較的利用率が高いことから、停車駅を削減することで後続にシフトさせるのも得策という感じはしませんが、分かりやすさという意味で急行と快速の中間的種別に統合するのはアリかなといったくらいでしょうか。

 各駅停車利用が主たる区間が整理対象かと思いますが、安易な設定は各駅停車の利用率を下手に上げてしまうことは利用状況から明確なので、ダイヤパターン次第といったところでしょう。

 なかなか難しいところです。

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 <各駅停車の状況について>

 各駅停車については20分サイクル中2本の平均値でグラフで示しているため、データ的には近い利用を示しているこの2本には違いがあることを示す必要があります。

 新宿において直前に快速がある列車と無い列車があり、快速有無で利用率に差があり、やはり快速後続のほうが空いているものの、笹塚において快速の直後設定ではあるものの新線の接続を1本うけることで、もう一方の笹塚急行接続列車と同等の利用率になるという形です。

 快速後続列車は明大前においても快速の後続という事もあり集客が少ないにも関わらずもう1本とほぼ同等という状況は良いバランスとも言えますが、編成として見ると8両編成であるため1両あたりの混雑率で見るとけっこう違うという見方もできます。

 立ち客が出ておらず、前方、10両編成であれば後方に空席車両もあるため、着席狙いをしようと思えばできる良い利用状況であると思われます。

 この状況があるので、前述した通り下位優等の停車駅変更は優等利用者を各駅停車にシフトさせるのは拙いのかなと考えています。

 もちろん各駅停車は近距離で減っていく列車ですので、ごく近距離区間であれば多少の立ち客は許容できるのかもしれませんが、決して各駅停車は空いている訳ではないという事は理解しておく必要がありそうです。

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 <下り方面まとめ>

 以上の通り、現行のダイヤパターンの利用バランスは良く、大きくいじる必要性は無いというのが率直な印象です。

 仮に利用バランスを変えたいとすれば下位優等のあり方、種別が複数であること、また停車駅が異なるため一部区間においては運転間隔がばらついているあたりは気になるところですが、これをやるために準特急、各駅停車の10分等間隔を崩すことは、得られるメリットよりも失うデメリットのほうが大きくなりそうで、ダイヤパターン設定はなかなか崩せないのではないかというのがオイラの見解です。

 もっとも調布地下化関連で施設的にダイヤ構造を変えざるを得ない状況ではあるので、ダイヤを変えてくるというのは理解しているつもりですが、おそらく上記の状況をして抑えるところは抑えて、挑戦するところは挑戦するダイヤにしてくるのかなという気はします。

 楽しみですね!!

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【上り方面】

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図-2:上り列車利用状況データ

 <全体の傾向>

 続いて上りですが、グラフを見て頂ければ分かる通り、利用のボリュームで見ると、準特急、快速、急行、各駅停車という順番になっており下りと基本的には同じです。

 準特急が編成まんべんなく利用率が高いのに対して、その他の列車は利用の高い位置、低い位置があるという違いがあることについても下りと同様ですが、その利用率を生み出す背景は多少異なるようです。

 大きな違いは各駅停車の利用率が急行の直後か快速直後かで大きく異なっている事です。

 快速のほうが急行よりも停車駅が多いため、後続の各駅停車から利用をシフトさせているのでしょう。

 この2本の各駅停車の利用差を快速から差し引くと、快速の優等としての機能は急行と比べて少なくなってしまいますが、準特急の利用がほぼ一定であることを考えると、急行と快速の利用差はちょっと大きいかなぁとは感じるところ。

 恐らくそこには急行の都営線直通列車としての集客が含まれているものと思われ、そう考えると、上り方面の傾向というものが見えてくるのかなといったところ。

 そういう意味で上りについても概ね良いバランスであるという捉え方にはなるのかなと思います。

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 <準特急の状況について>

 編成全体の座席が埋まり、混雑部に立ち客が少々出るような状況は理想的な利用状況と言えそうです。

 上りにおいては、発車駅が異なり、調布で接続する相模原線の急行、快速の相模原線内の分担率も異なるため、それら大半を集客する20分サイクル中の準特急2本の利用はもう少しバラついても良さそうですが、データを見る限りほぼ一定です。

 すなわちそれらの違いが利用のボリューム的に一定になるようなバランスであると捉える事が出来そうです。

 その根拠として、上りダイヤにはありがちですが列車の遅れが今回調査した4本中3本で見られ、遅延した結果前列車間隔が開いたであろう列車のデータは高くなっているものの、その差が殆ど無いという事からして、停車駅そのものの前列車間隔の集客よりも、府中の接続や調布における相模原線からの乗換えによる影響が大きいだろうことから、その結果イーブンである事はダイヤパターンの影響はさしてないという事になろうかと思います。

 調布において相模原線からの急行、快速の利用率を大きく下げるほど集客するイメージが準特急にはあり、実際そうなのですが、明大前の状況を見る限り、急行と快速も車両位置によっては準特急レベルになっていることから、このバランスで良いと捉える事が出来そうです。

 下りでも述べた通り、基本的には現行に近い形でベターなのかなと考える次第です。

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 <急行と快速の状況について>

 今回調査した40分間で上りは若干遅延があったため、急行と快速の前列車間隔にバラつきが出てしまい、その結果がデータに出てしまっている事は踏まえる必要がありますが、基本的に快速のほうが急行よりも利用率は高めです。

 それは前述の通り調布~明大前間で快速のほうが停車駅が多いためでして、その差が後続の各駅停車の利用率に響いている状況ですが、急行と快速だけ見た場合の前列車間隔の影響も少なからず直接的な利用に影響していることから見て、つつじヶ丘、千歳烏山、桜上水3駅あたりの利用も侮れない感じはします。

 急行の利用率が下りと比べて高いのは、対都営線の利用が上りの場合多少急行に集中している部分はありそうですし、笹塚で新宿行に接続することから、都営線方面であるから敬遠する理由も無いという感じでしょうか。

 下りと比べてバランスは上りのほうが良い感じでして、各駅停車との利用バランスについても、混んだほうの各駅停車(8両編成)と比べるとほぼ同等であることから、停車駅の増減はやはり慎重な設定が必要そうです。

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 <各駅停車の状況について>

 前述の通り、20分サイクル中2本の利用率に大きな差が出ており、混んでいる列車が8両という事もあり、混雑率が下位優等程度になっている点は若干気になるところです。

 つつじヶ丘において急行もしくは快速に接続するまでのスジ上の集客条件は殆ど変わらないので、大きい所は仙川、八幡山、下高井戸の利用が快速にシフトしていることと、つつじヶ丘から急行は停車駅が少ない分快速よりもスジが立っており、急行の後続となる各駅停車のほうが優等停車駅における新宿方面先着としての前列車間隔の開きが異なる点が利用率の差を生み出している理由であると思います。

 これを是正するとなると、急行と快速の停車駅、スジの違いといった条件の違いを揃えるもしくは縮めることが必要となりますが、混んでいる各駅停車も利用率が急行・快速を越えている訳ではないので、これはこれで良いとみることも出来るのかもしれません。

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 <上り方面まとめ>

 以上の通り、下りと同様に現行のダイヤパターンの利用バランスは良く、大きくいじる必要性は無いというのが率直な印象です。

 ただし、各駅停車の利用率に差が出ているなど、下りと比べると利用を構成する区間が長い分、多少なりともダイヤパターンの影響というものが出ているかなとは感じます。

 輸送力的には問題が無い範囲なので、下手に弄るならば現行パターンのほうが良いかなと思えるくらいで、そのあたりは下り同様にキモになる部分を維持しつつチューンナップという形になれば望ましいとは感じるところでしょうか。

 あと、どうしてもダイヤ調整の観点で上りは起点区間のスジが寝がちです。

 新宿の折り返し制約があるため、そのしわ寄せを上りダイヤで調整している感じで、例えば準特急は明大前の停車時間を長めにしているなど、可能であれば下りと同じ所要時間にできればなぁとは思うのですよね。

 調整が必要な理由として20分サイクルを採用している部分もあるので、仮に疑似10分サイクルをより完全な10サイクルに近づけることが出来れば、そのあたりの調整もできるのかなという気はします。

 そのあたりは抜本的改正ダイヤに期待したいところであります!!

 以上です。