図：西武池袋線所沢駅　夕ラッシュ時混雑調査データ（混雑ｐ表記）

◆所沢(発)状況

　データをご覧頂くと分かるとおり、最も利用率が高いのが飯能行快速で、ついで飯能行急行といった状況です。最も混雑している車両であっても１２０ｐ程度になっており、池袋～石神井公園あたりと比べると随分空いている印象を受けます。

　興味深い点として、１０分あたりのトータルはほぼ同じというのが挙げられます。下記のとおり、飯能行とその直前の小手指行の利用客を足すとほぼ同じになるのです。

　１．小手指行急行（８２０ｐ）＋飯能行準急（９６０ｐ）＝１７８０ｐ
　２．小手指行通勤準急（２８０ｐ）＋飯能行快速（１４８０ｐ）＝１７６０ｐ
　３．小手指行準急（６２０ｐ）＋飯能行急行（１１２０ｐ）＝１７４０ｐ

　所沢において新宿線との乗り換えを含めて乗降が多く、その基本流動が１０分間隔ベースなため、小手指行が飯能行に対してどれだけ直前で集客フォローするかの差はあるにせよ、単位時間あたりの利用客は概ね一定であることが推測されます。

　１の組み合わせは所沢で接続し、かつ小手指行が急行であること、３の組み合わせはダイヤ上小手指行が直前発車になることから「ある程度小手指行が集客している」のに対して、２の快速は所沢で特急待避をして小手指行の７分後発車（調査時）となっていたことから利用率がアンバランスになっているのでしょう。

◆所沢(着)状況

　池袋発の優等の混雑率が高く、飯能行の急行と快速が小手指行急行よりやや混雑率が高くなっています。

　そのほかの列車については、ひばりヶ丘で急行と緩急接続する通勤準急と練馬で快速と接続するメトロ線からの直通準急の利用率が低く、所沢まで先着になる池袋発準急、飯能行のメトロ線からの直通準急が中間的な利用率になっています。

　上記の通り、所沢着段階の利用率は、池袋からの利用がどの列車に集中するか、メトロ線からの直通を含めた練馬からの利用がどの列車に集中するかで決まっているようです。

　もちろん飯能行か小手指行かという行先の違いも混雑率に影響を与えていると思いますが、２本の急行の利用率の差が２割程度で、その差も全体的ではなく編成の一部の差になっており、その位置から練馬からの利用を受けるボリュームの差という印象を受けます。

　２本の急行はひばりヶ丘で通勤準急と緩急接続するという意味ではスジ条件は変わりませんが、接続相手の通勤準急が練馬において受け持つ分担量が変わっており、飯能行準急が直前に走る通勤準急は練馬での集客が弱く、その結果ひばりヶ丘での乗り換えが少ないのではないかと推測されます。

　池袋発と比べてれば空いているメトロ線からの直通準急ですが、飯能行の利用率が高いのは、飯能行であることと練馬から所沢までほぼ受け持つスジによるところが大きいかと思います。

　よって、急行の半数が小手指行になったことについて、当然利便性が下がることは否めないですが、その結果飯能行急行が極端に混むということはなく、逆に小手指行だから空いているという事もなく、それなりのバランスに収まっているように感じます。

◆気になる快速の混雑率だけれども

　今回の調査で気になったのは、むしろ快速の所沢以遠の混雑率の高さです。

　所沢までの利用率は飯能行急行と同程度なので、池袋での分担率の低さが練馬停車でカバーされて、それなりに良いバランスだとは思うのですが、所沢以遠は直前の通勤準急を所沢に長めに停車させても良いのかなと思ったりしました。

　しかし、よくよく考えてみると、快速は２分程度遅延して所沢を出発しており、新宿線の接続を多く受けてしまったのが原因のようです。

　所沢は概ね１０分サイクルベースの乗り換え流動があると前述しましたが、厳密に言うと、新宿線は所沢で時間調整することで本川越側の本川越行列車の運転間隔が１０分間隔になるのであって、西武新宿側の列車は１０分間隔ではないのです。

　この調査日の条件においては、快速が本川越行急行を２本受ける形になってしまっており、かなり集客していましたね。実際のダイヤでは２本受けないので、たまたま調査結果が悪く出たということです。

　よって、通常時はもう少しバランスが良いのではないかと思っています。

　また機会があったら見てみたいと思います!!