小田急線2012年3月17日改正ダイヤについて考える!!
小田急線が2012年3月17日にダイヤ改正をすることが本日公式発表されました。
今回の改正要旨としては、
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1)御殿場線直通ロマンスカーの運行形態変更
2)東京メトロ千代田線直通ロマンスカーダイヤの修正
3)通勤時間帯のロマンスカー増発
4)土休日日中時のロマンスカー運行形態変更、小田原系統快速急行設定
5)一般列車の途中駅における連結・切り離しの廃止
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となっており、ロマンスカー主体の変更となっています。
代々木上原~梅ヶ丘間の複々線化工事は進捗しているものの、まだ完成しておらず、現行の設備制約の中での修正であることは項目から読み取れますが、複々線完成時を見据えているように感じる部分もありますね。
以下、思う所見解を述べてみたいと思います。
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1)御殿場線直通ロマンスカーの運行形態変更について
あさぎり号に使用していたRSE車両が引退することになり、代わってMSE車両を使う事になるようです。
JR東海の車両の使用も行われないようで、小田急車両のみの直通となるようですね。
運転区間が新宿~沼津間から新宿~御殿場間に短縮されますが、利用状況を踏まえての短縮なのか、車両運用上可能な範囲での直通として御殿場まで短縮をしたのか分かりませんが、どちらかというと運用上の都合という気がします。
現在の小田急線は複々線化工事により起点方の待避設備が少なく、ダイヤ構成上大きな制約が生じており、パターンダイヤを組んで対応していますが、直通先の制約も含めてあさぎりのスジを組み込みに苦労している面がありました。
新ダイヤでは、新宿~御殿場間の運行にすることにより、平日運行の3列車については1運用で運行が可能な形にし、かつ小田急線内のパターンを崩さない形になっていることが分かります。
土休日のみ運転の4本目は別運用ですが、これもパターンダイヤを崩さない形になっていることから、このあたりがあさぎり運行の当面のラインなのかなぁという印象です。
正直な所、利用だけ考えると今回車両面での変化点ということから廃止というセンもあったように感じますが、廃止してさがみ等の小田原系統の特急にするよりは、まだあさぎりとしての運行上のメリットがあったという感じで残ったのかなとは感じます。
このあたりは今回のさがみ・えのしま・あさぎりの3系統をまとめて見直したところに意味があるのかなぁと。
以下は土休日ダイヤにおける日中時間帯のロマンスカーダイヤの現行・改正比較です。
新設定のあさぎり号は、従来スジでいう所のさがみ号枠である新宿50分発の設定です。
土休日ダイヤは運行形態見直しにより特急が毎時3本になっており、いわゆるはこね枠以外は毎時1本しかありません。
ここにさがみ、あさぎり、えのしまの3系統を設定すべく、6+4両の運用が出来るMSEとEXEを活用することにしたというのがポイントでしょうか。
元々がさがみ枠なので、あさぎり設定にあたってはさがみ号の停車駅に合わせる必要があり、新百合ヶ丘、相模大野、秦野に追加停車し、町田を通過させる形になりました。
元々の町田、本厚木停車という設定は、沼津直通延伸前の御殿場行設定時代から継続されたもので、設定スジが当時のあしがら号枠、さがみ号枠のいずれかを置き換えという形であったことから、その両方を兼ねる形で両駅停車という形にしていたものと推測しています。
その後も変化なく維持されていたことから、利用面でも妥当なところだったのではないでしょうか。
町田通過の設定が若干気になるところではありますが、あさぎり号と続行になる場合はこね号が町田通過のスーパーはこね号にしているところを見ると、新宿~町田利用はあえてあさぎり号に担わせていた部分もあり、その機能は必ずしもあさぎり号に担わせる必要は無いことと、隣駅の相模大野停車により中間付近からの利用も乗継ぎでケアーできるだろうという判断は有りそうです。
前述のとおり、あさぎり号の停車駅設定に小田急線内利用配慮の観点が強いとするならば、今回の停車駅設定は頷けるように思います。
あさぎり号だけの需要では厳しい部分も、さがみ号の停車駅と同一にすることで小田急線内の利用も見込めるでしょうし、ダイヤ制約の大きい現時点では、この設定で当面様子を見るというのが実態なのではないでしょうか。
MSE自体汎用タイプの列車なので、仮に今後あさぎり号の運行を縮小しても問題が少ないというのが、今回の施策の保険なのかなぁというのは正直な感想です。
維持されることを期待したいところではありますが・・・
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2)東京メトロ千代田線直通ロマンスカーダイヤの修正について
MSEの車両増備がされるようですが、あさぎり号にMSEが使用開始されることもあり、小田急線内の運用の変更が発生するようにも感じるところですが(詳しい運用検証はしていません)、ことメトロ直通系統の変化という観点で見ると以下の項目になるかと思います。
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◆平日日中時にメトロはこねを北千住~箱根湯本間で1本運転
平日日中時のメトロはこねの設定については、箱根輸送の需要拡大を図る意味合いであるとともに、MSEの車両運用上の有効活用といった面があるでしょうか。
ダイヤ面を見てみると、メトロはこね下りの折り返しがソースにある小田急線内ロマンスカーの増発列車(箱根湯本12:03-新宿13:39)として設定されるとともに、上りに充てられる列車が運転区間延長列車(新宿12:50-箱根湯本14:25)として設定されるなど、MSEのやりくりはそれなりに面倒です。
それでもなお運転する訳なので、MSE車両増備によりダイヤ編成が可能になったため意欲的に設定されたという事なのかなと考えます。
新宿12:50の延長運転列車は土休日ダイヤでいう所のあさぎりスジであり、いずれにしてもMSE絡みのスジという事で、平日は平日なりに有効活用するという事なのか、あさぎりスジに充てるほどでも無いので箱根輸送に割当てたのか、そのあたりは色々とあるのかもしれません。
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◆平日メトロはこねの成城学園前に停車、本厚木行メトロホームウェイの新百合ヶ丘停車化
メトロ直通系統ロマンスカーの停車駅の変更については、利用状況による部分が大きいものと推測していますが、今回の変更については利用増を狙ったものではないかと考えます。
メトロはこねの成城学園前については、ソースにもあるとおり世田谷地区から箱根方面のアクセスの利便性向上を狙ったものでしょう。
成城学園前はメトロ直通ロマンスカーの停車実績もありますし、居るかどうか分かりませんが新宿から乗り継ぐ上でも極力新宿に近い駅という事で都合が良いかもしれません。
メトロホームウェイの新百合ヶ丘停車化については、従来停車駅よりも手前の追加停車という事で、普通に考えれば利用増を図る施策ですよね。
先日表参道で唐木田行の利用を見たところ結構混んでいたので、後続の本厚木行はもっと利用率が良いのだろうなぁとは思ったのですが、今回の変更と新百合ヶ丘の停車ホームが多摩線ホームであることを考えると、多摩線に対する利便性向上という側面が強いように感じます。
多摩急行が千代田線直通なのは対新宿だと京王線との競合があるため、千代田線直通という部分で利便性を確保しているわけですが、実際に千代田線・多摩線間の利用があるという事ならば、行先は本厚木でも新百合ヶ丘に停車することにより、千代田線内からの利用が見込めるという感じなのでしょうか。
ん~、改正前に本厚木行の利用率を調べてみたくなりました(笑)。
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◆土休日朝のメトロさがみの時刻繰り下げ
土休日ダイヤのメトロさがみが本厚木発6:44から7:22発に38分繰り下がりました。
元々のダイヤ設定はベイリゾート号運転時に新木場まで走って、その後綾瀬まで回送してからメトロはこねとして運転するのに間に合う時間という感じでしたが、ソースにある通りベイリゾート号の運転を中止することから、回送間合を考慮する必要が無くなり、利用しやすい時間に変更したという事だと思います。
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◆現行一部列車が6両であるのを10両化
4両編成増備による改善ですね。
平日夕ラッシュ時のメトロホームウェイが10両であることが重要っぽい記載なので、更なる利用増が図られるものと思います。
この10両化と新百合ヶ丘停車化はひょっとするとリンクしているのかもしれませんね!!
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3)通勤時間帯のロマンスカー増発について
小田急線系統のロマンスカーについて、日中時の変更はメトロはこね運転の所でコメントしましたので、ここでは通勤時間帯についてコメントします。
◆朝間時のロマンスカーの増発
平日朝ラッシュ時間帯の前に相模大野発のさがみ62号と藤沢発のえのしま66号が増発されることになりました。
列車番号から推測するに、現在設定されている町田発新宿行さがみ62号(62号増発で64号に変更)の前後に設定されるものと思います。
増発という事で相模大野発は町田には停車せず新百合ヶ丘に停車するなど、この2駅で利用が見込めると判断しているのでしょう。
藤沢発も大和、相模大野2駅停車ですし、ラッシュ前の着席需要に向けた利便性向上と見ることが出来そうです。
◆夕夜間時のロマンスカーの増発
江ノ島線系統を増発するというのが主たる変更で、江ノ島線系統を単独運転化することにより、小田原線系統の本数自体は変わらなくとも輸送力向上も図られるのではないかと思います。
ホームウェイの発車時刻を分かりやすくする狙いがあるようですが、小田原線系統は元々00、30分発設定のため、分かりやすくするのは江ノ島線系統が毎時1本あるよという部分ですよね。
メトロホームウェイのスジの影響を受けて、新宿発時刻が固定できないのは残念なところですが、概ねこの時間帯という認識が持てる程度にはなっているので、利用状況がどのようになるか興味深いです。
新旧ダイヤを比較してみました。
18:30と19:00の小田原線系統の運転区間を短縮しているのは、記載にもある通り利用の多い時間帯に輸送力をシフトさせるため、もう一度起点方に折り返すための措置かと思います。
18:30の列車は本厚木までの運転と一気に短縮していますが、変更できる利用状況であったということなのでしょうか。
各号に対してどのような編成が充当されるのか分からないので、これ以上は分かりませんが、新ダイヤのほうが良くなりそうには感じます。
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4)土休日日中時のロマンスカー運行形態変更、小田原系統快速急行設定について
土休日日中時のロマンスカーが毎時3本化されることになりました。
はこね枠2本は維持され、その他の系統を残り1枠に詰め込む事としたのは前述の通りですが、結局のところ、これがロマンスカーの利用バランスを踏まえた最適解ということなのかと思います。
平日ダイヤは以前から毎時3本でしたが、土休日ダイヤについても平日ダイヤと同様になったという事ですね。
この変更により余った特急枠は平日ダイヤと同様に快速急行として活用することになりました。
起点方のダイヤ制約上、増発される快速急行は平日ダイヤと同様のスジになるものと思われますが、それよりも快速急行設定に伴う町田発急行の設定という項目はちょっと悩ましいです・・・
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頭をリセットする意味で、ここで現行の土休日ダイヤを見てみましょう。
図:小田急小田原線・江ノ島線現状ダイヤ(2011年3月13日修正ダイヤ)
現行の土休日ダイヤは、ダイヤ構成上10分間隔で設定できる速達優等枠のうち4つを特急が使っています。
快速急行は施設制約上、この特急優等枠のスジを使って設定せざるを得ないため、残り2枠を使って、梅ヶ丘~和泉多摩川間で特急スジと同様になる形で運行しています。
この制約(新宿~梅ヶ丘間に待避設備が無い)の上では快速急行設定には限界がありますが、平日ダイヤにおいては特急枠が3本であることから快速急行が3本になっているなど、設定できるのであればもう少し快速急行を増やしたい状況ではあったと捉えています。
よって、今回土休日ダイヤについても可能な範囲で快速急行を増発したという事でしょう。
これ以上の変化は代々木上原~梅ヶ丘間の複々線の完成を待つ必要がありそうです。
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そこまでは分かるのですが、快速急行の設定と合わせて「日中時間帯、町田始発の急行新宿行を毎時1本設定します。」と記載するニュアンスが良く分かりません。
平日ダイヤと同じパターンにするならば、小田原系統の快速急行と町田~大野で続行になる急行は江ノ島線直通になるところですが、そういった記載が無いことから、土休日ダイヤについては急行の扱いが平日ダイヤとは異なるということが読み取れます。
上記ダイヤで分かるとおり、土休日ダイヤでは急行が4本とも小田原行のため、江ノ島線の急行は線内運転6両編成の運行となっています。
土休日は特急えのしま号の本数も多く、えのしま号のスジが平日ダイヤの直通急行スジとバッティングするため、設定時間も異なっているのです。
よって、新ダイヤにおいても江ノ島線の急行は線内運転のまま維持されそうですし、その場合新宿口の急行維持の観点で町田始発の急行を設定するのも納得です。
プレスに書いていないだけで、下りも町田行が設定されるという事ならば良いのですが、快速急行は下り列車についても記載しているのに急行の事を書いていないのは不自然です。
下りと上りで町田・相模大野における接続関係が異なるとか、土休日は江ノ島線内の急行が無くなってしまうとかで、あえて詳しく書いていないというのが正解かなぁと思っていますが、どうなるでしょうか??
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5)一般列車の途中駅における連結・切り離しの廃止について
最近のダイヤ改正で少しずつ縮小してきた途中駅における連結・切り離しの廃止は「ついに全廃かぁ」というのが率直な印象です。
小田急沿線で育った身としては、小田急と言えば分割併合というイメージがあるので寂しいところではありますが・・・
系統分断の手間があっても無くすというのは今回の変更点で確認できるところなので、今後も町田・相模大野を輸送力調整点として、ダイヤを構成していくのでしょうね。
とりあえず今回はこんなところで。。。