2013年4月 4日

京王線2013年2月22日改定ダイヤを分析する!!

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 相当タイミングを逸してしまいましたが、京王線2013年2月22日改定ダイヤを時間帯別に作成しましたので、コメントしたいと思います。

 各時間帯で若干利用状況調査もしましたので、そのあたりも含めて見解を示していきます。

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図-1:朝ラッシュ時ダイヤ

 2012年8月19日の修正ダイヤと比較してみた場合、以下が変更点となります。

 ・通勤快速が通勤急行に種別変更(ダイヤスジはほぼ変更無しです)
 ・高尾線内各駅停車スジ見直しにより、高幡不動の緩急接続を廃止(最ピーク帯)
 ・つつじヶ丘始発各駅停車時刻の変更、一部列車の待避箇所変更
 ・相模原線内の列車間隔の是正

 他にも細かい変更はありますが、主たるところではこんな感じです。

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 <高尾線内各駅停車の変更>

 ここ最近のダイヤ変更で少しずつ是正されていますが、高幡不動における各駅停車の緩急接続はパターン上長時間待避になっており、北野~高幡不動間のスジを若干繰り上げるだけで前の列車スジにつなげられそうな状況でした。

 新ダイヤでは、高尾線内のスジ見直しを含めて、高幡不動での緩急接続無しとして府中まで先着するスジに変わりました。

 全体的に見てもスッキリした感じで、優等への乗り換え量もさほど変わる事は無さそうなので、改善点として挙げられましょう。

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 <つつじヶ丘始発各駅停車時刻の変更>

 つつじヶ丘始発列車の時刻変更については、始発を挟むが故に調布~つつじヶ丘間で各駅停車の間隔が10分開いている2箇所を是正したかったようで、新ダイヤでは7分程度の間隔に短縮されていて、その影響で始発列車を変更したかのような処理がなされています。

 つつじヶ丘の段階では各駅停車の利用率はさほど高くないので、混雑面での配慮というよりは利便性の観点のほうが強いかもしれません。

 とは言え、前列車間隔10分の列車からの利用客を集める優等(旧ダイヤでは2本とも新宿行通勤快速)のケアーとしても意味がある変更かとは思います。

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 <相模原線内の列車間隔の是正>

 相模原線内の各駅停車スジについては、調布以遠の利用バランスを踏まえていたのか分かりませんが、多少間隔がまちまちで、気になる点として各駅停車の若葉台待避時間が長いことがありました。

 新ダイヤでは、急行のスジを若干見直し、各駅停車の若葉台待避時間を短縮する処理がなされました。

 橋本~若葉台間、若葉台~調布間の各駅停車間隔も若干是正された印象です。

 相模原線系統の各駅停車の調布における本線優等への接続状況を見てみると、概ね従来ダイヤと同様ですが、1本だけ急行ではなく1本あとの区間急行に乗り継ぐ形の変更がなされています。

 このあたりは優等の利用バランスの是正というか、混雑時間帯ですので混雑分散の対応といったところでしょう。

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 朝ラッシュ時については基本的なダイヤは変えず、配慮すべき点を修正した形のようです。

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図-2:日中時ダイヤ(上下)

 日中時については、橋本系統特急新設に伴う新宿~調布間の増発が運転本数的な変化となっていまして、結構大掛かりな変更の印象もありますが、種別変更こそあれど調布~京王八王子・高尾山口・橋本間は従来ダイヤに沿ったパターンであると言えましょう。

 そのパターン維持の中にダイヤの調整の工夫・苦労があるなぁというのがダイヤを作成して感じた印象です。

 以下、区間別の感想のあと、最後に調整点について言及します。

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 <調布~京王八王子・高尾山口間>

 京王八王子・高尾山口系統については、双方に優等1本、各駅停車1本設定、緩急接続は府中と北野という準特急時代に確立したパターンを維持しました。

 利用状況を見ても妥当なパターンだと思っていたので、ここが維持されたのは大きいかなと感じています。

 このパターンを維持するため、特急1本が調布で時間調整をする形になりましたが、調布地下化の暫定ダイヤの段階で、つつじヶ丘~府中間の各駅停車逃げ切りが困難で、調布における緩急接続の有り方を見直さない限り特急スジが寝るもしくは停止時間調整が必要であることは明らかでした。

 しかし調布は従来通り相模原線系統との接続を重視した形となり、結果特急の半数が時間調整をする形になりましたが、この判断としては京王線系統は10分サイクル、相模原線系統は20分サイクルであることや、利用状況など全体のバランスをみるとベターなのかなぁとは思います。

 緩急比1:1の10分サイクルで調布口で立ち客は優等の一部程度の状況ですから、調布での時間調整、起点方における橋本特急新設の影響は未知数ですが、上りは調布までの利用はほぼ変わらず、下りも橋本特急の影響は若干はあるも、新宿と明大前の府中以遠利用視点での前列車間隔は殆ど変らないため、基本同等程度でしょうか。

 調布~京王八王子・高尾山口間については無難な形に収まったと感じています。

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 <調布~橋本間>

 20分サイクルに優等1本、各駅停車2本の計3本運転んという構成は変わらず、3本とも新宿方面への移動に配慮するという点も同様です。

 従来ダイヤでは急行と快速を都心方面の基軸として調布時点で10分間隔になるようにし、補助列車の区間各駅停車は接続上急行に乗り継げる形とし、折り返し制約上ついでに本線各停にも接続する形としていました。

 結果、相模原線内の各駅停車として見た場合間隔のバラつきがあるも、比較的輸送力を多めに設定している背景もあってか、長らくパターンとして維持されました。

 新ダイヤでは線内優等の機能を新設の特急が担う形となり、単純増発の形であることから、各駅停車の新宿方面接続機能を特急と別に約10分間隔で構成することとしました。

 この変更を可能にしたのは、調布の配線変更に伴う相模原線同士の緩急接続が可能になったことによるものであり、調布の改良の成果という事になりましょう。

 日中時の一般的な利用状況としては調布口で10分間隔の各駅停車があれば着席可能な程度ですから、優等が設定されると、優等利用可能なだけシフトして各駅停車が空くというロジックですが、元々の急行は準特急接続でそのシフト量が多かったという構造が、橋本特急と快速が接続することで橋本特急も急行ほどとはいかなくてもある程度の利用は見込めるのではないかと思います。

 特急の利用率を高めようとするのも既存のパターンを維持する限り困難ですし、各駅停車が混んでいる訳でも無いので、橋本特急はある程度利用があればOK程度で良いのかなと。

 それが日中時の線内優等の機能のベターであると考えれば、多摩センターの緩急接続をしない先発先着パターンであるのは妥当なところかと思います。

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 <新宿~調布間>

 最後に起点方区間の新宿~調布間です。

 基本的には前回の暫定改正のパターンに橋本特急を続行設定で挿入した形と言えます。

 新宿で各列車が続行で出発して、各駅停車の緩急接続駅をつつじヶ丘にする事により、各列車の利用が分散するパターンは利用状況的にも利便性の上でも良いダイヤでしたので、このパターンが維持された事は望ましいなとは感じます。

 明大前段階で特急(旧準特急)の利用が多くても立客少々、最も空く各停でも一部車両を除きある程度の利用が見込める区間において、橋本特急の単純挿入が他列車の利用を少なくすることはあっても多くすることは無いと思われ、概ね10分間隔のパターンとそれに伴う利用バランスは維持されたものと見て良いでしょう。

 細かい点を見ると、旧ダイヤにおいて新宿発の各駅停車の半数が笹塚で都営線系統の急行に接続していて、優等接続列車としていたのが廃止となりました。

 下りダイヤにおいて都営線ダイヤとの整合上やむない措置でしたが、接続しなくなった各駅の直前に特急が2本連続で設定され、接続列車として機能することと、急行利用者は最初から新線新宿利用が多かったため、さしたる影響は無いとみて良いかなぁとは思います(上りは新ダイヤでも接続が維持されています)。

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 <ダイヤ上の制約と調整>

 1.全体パターンの制約

 これまでの京王線ダイヤを構成する上での制約は調布の平面交差であり、調布地下化後の暫定ダイヤでは相模原線区間列車の調布~つつじヶ丘間の回送処理を踏まえた形としつつも、基本似たような構成でしたが、新ダイヤではこの制約が無くなったことにより、新宿の折り返しを重視したパターンに変更したように感じます。

 各方面の折り返し間合いをある程度確保しつつ、新宿の折り返しを踏まえて本数の多い新宿~調布間のダイヤを捌く・・・そんな印象を受けるんですよね。

 新宿において20分サイクルに6本の折り返しを捌くにあたって、続行到着から続行発車をする形にして、発着が交錯しない形を取っているのが過去のダイヤとは異なる点でしょうか。

 前回の暫定ダイヤではどちらかというと各駅停車に最低限の折り返し間合いを確保した中でパターンを構成しているのに対して、各駅停車を可能な限り長時間折り返しにして、そこに優等を突っ込んたような構成です。

 優等の折り返し間合いが短いのが難点ですが、これも調整の結果という感じであるため、ホームドア整備も踏まえると仕方ないところかなぁとは思います。

 2.21本運転に伴う優等スジの所用時間増

 新ダイヤでは20分サイクルに7本の列車を設定するため、優等列車のスジに多少の徐行を許容して組んでいます。

 以前の橋本特急設定時代は各駅停車の比率が7本中3本と高かったため、待避箇所を駆使しつつ橋本特急を急行の後続行させる形でやりくりをしていました。

 橋本特急が新宿~調布間18分となっており、ほぼ全区間で急行の後追いだったため徐行気味で走っていたのが印象的で、結果橋本特急が遅いイメージでしたが、八王子特急も少なからず徐行区間はあり、走れるところは走って新宿~調布間15分といった状況でした。

 新ダイヤでは特急は20分サイクル中3本とも新宿~調布間は上下ともおおむね16分前後の設定になっており、一部列車だけが遅くならないようにしています。

 特急2本を続行設定して、続行であることにより詰められる部分で従来のダイヤパターンを維持しようとした形が新ダイヤという事なのかと思いますが、それは新型ATCにより列車間隔の詰めが効くようになったという部分は大きいようで、下りで見ればつつじヶ丘、上りで見れば八幡山の待避は特急続行が2分間隔以内になることを期待しているようなフシを感じます。

 その結果、下りの調布や上りの明大前は2本目が駅手前で徐行するような形になりますが、これを許容してダイヤを成り立たせていると見るほうが自然かと思います。

 快速や各駅停車の所要時間設定も以前と比べると若干余裕を見ているようで、その分特急は頑張って続行を詰める必要があるといったところでしょう。

 一点、以前の橋本特急ダイヤのようになっているのが区間急行でして、20分サイクル7本運転の影響が最もスジに出てしまっていますね。

 新宿付近のスジを立てる事が出来ず、快速と対のようなスジとなっており、下りは桜上水~つつじヶ丘間、上りは桜上水~笹塚間が各駅停車の後追い徐行になっています。

 かといって停車駅ほ増やすような余裕は無く、勿体ないところではあります・・・

 3)京王新線・都営線との調整

 京王線が疑似10分サイクルなのに対して京王新線は20分に3本の設定、都営新宿線はその延長での20分サイクルであり、従来から笹塚での接続配慮の観点で調整が難しい点でした。

 結果、京王新線は20分サイクルに3本であっても、9、6、5分間隔といった感じに10分間隔+αな設定にして、急行の直通と快速接続1本、各駅停車接続1本の体制を続けてきまして、今回も都営線内のパターンが変わっていないため、基本的には従前パターンに沿った設定となっています。

 ただ、京王線の上下のスジの関係が変わってしまったため、京王新線・都営線のスジの平行移動では限界があり、結果区間急行のスジを笹塚で2分時間調整する対応となりました。

 下りは従来は急行直通→快速接続→各駅停車接続という配列でしたが、区間急行直通⇒各駅停車接続→快速接続という配列に変わりました。

 京王新線のパターンは同じなので、区間急行が笹塚で2分時間調整する前提でスジを前倒しにして、他列車の京王線接続を変えたわけです。

 ここに新宿発各駅停車が都営線からの区間急行と接続しなくなった理由があり、区間急行は時間調整の上、更に先の区間で徐行ぎみに走る必要が出てきた訳です。

 上りは配列は変わらず、区間急行の時間調整のみの対応で済んでいます。

 運用上の都合とか色々あっての結果だと思うので、このあたりは仕方ないところではあるのでしょうね・・・

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図-3:夕ラッシュ時ダイヤ

 夕ラッシュ時ダイヤも日中時と同様に、橋本特急の新設挿入がなされ、更にピーク対応として都営線直通系統の急行が増発設定されています。

 夕ラッシュ時の最大の特徴は京王線系統の調布以遠の各駅停車を調布まで優等運転する列車に担わせて、新宿発の各駅停車は相模原線に割り振っている事です。

 この背景として、夕ラッシュ時は相模原線が緩急比1:1の10分サイクルで京王多摩センターで緩急接続するパターンである事が大きいようで、調布において優等の束の中間時間帯に位置する各駅停車を相模原線に割り振る事で、京王線系統の調布~府中間のスジを立てていますね。

 毎時24本を走らせる時間帯だから出来る事だとは思いますが、都営線からの急行を調布から各駅停車に種別変更して調布以遠各駅停車となった快速と対で設定したところは上手いところです。

 また橋本特急を含む続行運転の配列が八王子系統、橋本系統の順番になっている点についても、調布で接続する列車が京王線系統なので、同時発車が別系統になるように日中時とは逆にしているところもポイントでしょう。

 利用状況としては暫定ダイヤの毎時18本でも何とかなった時間帯という事で、6本増は大いに混雑緩和が期待できるものと思いますが、橋本特急は後続行、都営線系統の急行は桜上水で特急を待避する事から、スジ自体の集客能力は低く、効果は限定的かとは思います。

 とは言え増発ですから、特急系の混雑は確実に緩和されるものと思われ期待できるでしょう。

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 ダイヤパターンがやや分かりにくいのと、20分サイクルの影響で相模原線が10分等間隔からややバラつきが出てしまい、急行スジが寝ているなど調整ポイントはいくつかあるようなので、今回ダイヤの実績を踏まえて、次回の調整はありそうな感じです。

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 以上です!!